あらすじ
海外勤務を経て天空不動産第二営業所に戻ってきた春田創一(田中圭)。恋人牧凌太(林遣都)とのラブラブな生活が待っている…かと思いきや!本社の狸穴(沢村一樹)が営業所にいきなり押し掛け、地域一帯の開発プロジェクトに協力するよう言い渡す。その傍若無人ぶりに反発する第二営業所の面々。しかもその隣には牧の姿が…。牧はすでに本社に異動になっていたのだ。異動のことも仕事のことも、何も話してくれない牧に春田は複雑な感情を抱く。
一方、黒澤部長(吉田鋼太郎)が階段から落ちて頭を打ち、「春田のことだけを忘れる」記憶喪失になってしまう!黒澤は再び春田=「はるぽん」にときめき、乙女になるのだった…。
思い合えば合うほどにすれ違ってしまう春田と牧、黒澤の二度目の初恋、陰謀渦巻く開発プロジェクト、それぞれの行方は…まさかの大爆発!?
感謝をのべる前置き
はぁ…
はぁ…
はぁぁぁぁぁ…
あ、ここは天国ですか?
わたしは連ドラ版「おっさんずラブ」(以下OL)が大好きで、好きすぎて最終回後にはロスが深まってブログの更新が滞るというかなりの重症に陥りました。詳しくはこちらをどうぞ。
そんなわけで、まさかの、まさかの、
まさかの劇場版!!!
これを読んでいる方の中にどれだけ「OL民」(OL好きの人のこと)がいるかわかりませんが、最終回を終えてから(というか6話の時点から)民はみんな続編を待ち望んでいたと思うんですよ。
けれども、ドラマの内容だとか視聴率だとか大人の事情だとかで、きっと作られることはないだろう、と半ば期待半ば諦めて、ドラマを連続再生したりキャストが出演している他作品を観たり聖地巡礼したりOL展へ行ったり(わたしは行けなかったですけどね…(T_T))雑誌や公式本を読んだり二次創作を作ったりして楽しんでいたわけですよ。
そこへ、続編、しかも映画化の知らせ!
「あったらいいな~」とは思ってましたけど、正直「いやでも、そんなのあり得ないよな」と割り切っていたんです。
それに、あんなにきれいに終わってくれたドラマ版に続編だなんて蛇足だろう、とも思っていたわけですよ(若干の強がりも入りつつ)。
でもこうして、続編を作ってくれた。わたしたち民の期待に答えてくれた。それだけでもう、十分幸せなんです。
だからこの劇場版はね、民にとってはご褒美みたいなものなんです。ボーナスステージなんですよ。てかもう奇跡ですよ。
内容どうこうではなく、続編を作り、再びOLの世界を見せてくれたこと、それ自体に感謝したい。
スタッフの方々、そして特にキャストの方々は皆さんお忙しい時だったと思います。そんな中でも、わたしたち民のために、民の声に耳を傾けてこの映画を作ってくださったことに、まずは感謝の気持ちをのべたいと思います。
本当にありがとうございました。
評価できません。
そんな気持ちでいますので、はっきり言って本作に対して正当な評価を下すことはわたしにはできません。
観ている間も
「めっちゃはるたんだ!」「まき!まきまきまきまき!」「ぶちょーーー!!」「武川主任…泣」「マロったら~!」「ちずかーわーいーー」「舞香さんっ!ゲラゲラ」「大島さん!児島だよっ!いや鉄平だよ!」
という感じで、なんだか懐かしの面々と同窓会をしているような気持ちでいたんですよね。
いやぶっちゃけね、冷静になって考えてみればおかしなところばかりの映画なんですよ。
もしこれ単発の映画だったらこぞってこき下ろされる類いのアレですよ。「え、このカットいる?」「いやいや強引すぎるだろ…」「ちゃ、茶番?」みたいなののオンパレードなんです。それは本当に認めます。
完全にファンムービー、というか、ファンメイドのパロディに近い。
実際、Twitterやpixivでファンが楽しんでた(遊んでた)設定が盛り込まれてるんですよ。花火大会とか、牧ちずの関係とか、名前呼びとか、記憶喪失とか笑。
つまり『劇場版おっさんずラブ』は、民の、(ある意味で)民による、民のための映画なのです。
だから映画好きさんは観たらだめです(笑)。
というわけで以下、ネタバレしながら特に気に入ったところについてつらつら書いていますが、こんな状態ですから内容に関してまともなことは何にも書いてません。
ちゃんとしたレビューが読みたい方は物語る亀さんのブログがおすすめです。
メタ的な話でもある。
いきなりオチの話をしちゃいますが、いろいろあって牧はシンガポールでの開発プロジェクトに携わることになり、春田と再び離ればなれになってしまうんですね。
ただ、二人は映画の中でちょっと別れたり、本音を言い合ったりして以前より絆がぐっと深くなってるんです。体は離れても、心はしっかりと結び付いている。だから、春田は快く牧を送り出せる。
その時春田は「お前が地球の裏側(いや裏側じゃねーし)で頑張ってると思ったら俺も頑張れる」「偉くなれよ(官僚じゃないんだから)」みたいなことを言うわけですよ。
これ、もう完全に田中圭と林遣都の関係なんですよね。
この二人、元々しっかりとした俳優さんなんですけど、世間的には「おっさんずラブ」で大ブレイクしたみたいな感じじゃないですか。でもその後の露出度で見ると、田中圭の方が圧倒的に多い。
というか林遣都の事務所(スターダスト)的にはおそらく「おっさんずラブ」のイメージだけでは売りたくないっぽくて、OL終了後は全然出てこなかった。OLがらみの露出はほぼ田中圭(時々吉田鋼太郎)で、むしろ彼が防波堤となって牧=林遣都を守っていたように見えるところもあったんです。
ところが今回映画化され、林遣都が再び牧を演じることになった。おそらく、これで最後でしょう。
春田の最後の言葉は、「おっさんずラブから離れても、お前なら全然大丈夫だよ、頑張れよ」という春田=田中圭及びOLに関わった人たちみんなの牧=林遣都へのエールだったんじゃないかと思います。
そして、これはそのまま作り手たちからファンへの言葉でもある。
「ここまで応援してくれてありがとう、離れていても心はつながっているよ」という…。
だから最後、春田と牧はお互いを振り返らない。それは信頼関係がしっかりとあるからだし、「過去ではなく、未来を見て前に進んでいくよ」ということなんだと思うんです。
春田がそっと笑うのは(主題歌「Riveival」の歌詞でもあるんだけど)、この作品に「未練はない、やりきった」という自負であり、もうOLの続編は作らないよ、という意思表示のように思えたんですよね。
なんかそんなことを考えたら、ぐっときてしまいました…。だからわたしもね、ちゃんと前を向いてね…ぐすっ、OLだけじゃなくて、いろんなドラマや映画をね…うぅぅっ、観ていこうって思ったりしたりしちゃったわけで…わぁぁぁん!(TДT)
…コジツケ?そ、そうだね、そうかもね…!
「男同士の恋愛」に向き合う
それから、今回はドラマ版の時よりも、男同士であるが故の壁というものがより一歩踏み込んだ形で提示されます。
ドラマの最終回で春田は牧にプロポーズしましたが、あれはもちろん遊びでも冗談でもなく本気だったと思うんですよね。でも、ずっと同性愛者として生きてきた牧にとっては嬉しい反面苦しくもあった。春田が本気になればなるほど、牧はつらい。
春田が言った通り「法律的には結婚できない」し「子どもが大好きだけど」それは叶わない。牧はその葛藤にこれまで何度もぶち当たって来たんだと思うんです。
でも、それでも春田は「牧じゃなきゃ嫌だ」なんです。いろんな気持ちを理解した上での「牧と死ぬまで一緒にいたい」だったと思うんですよね。
OLはコメディで、その辺りはずっとスルーされてきたというか、結構ファンタジーに描かれてきていたんですよね。なので、今回そういった踏み込んだセリフが出てきたことに正直驚きました。
それを、死ぬかもしれない絶体絶命の場面=「LOVEorDEAD」としてクライマックスに持ってきたところが、劇場版としての見所だったんじゃないかな。
そこを乗り越えた春田と牧なら、きっと「歯が抜けてハゲてボケてオナラが臭くなって」(笑)も一生添い遂げることができるだろうな、と思わせてくれました。
あぁ、きっとこのネタで上手な方が二次作ってくれるんでしょうねぇ…楽しみですよ…(期待の眼差し)
主題歌の歌詞とのリンク
ドラマ版と同じく、今回も主題歌は(最初間違えてコブクロって書いてごめんなさい!正しくは、スキマスイッチさんです!お詫びして訂正いたします!!)「Rivival」が使われています。
(ドラマ内での重要なロケ地が満載のこのPV、もう100回は観た)
ドラマの時も歌詞とのリンクが度々指摘されてましたが、今回は「主題歌を意識したんだな」というシーンが特に多かったように思います。
Aメロの「照りつける日差しと共に追憶をつれてくる」は春田が最後狸穴を実家のうどん屋に連れていくシーン、
サビの「いつの間にか記憶も存在も手の届かないとこに隠すようにして はぐらかしてた」から2番のAメロの「解決が忘れることなら僕はそれを望んじゃいない」は、部長が記憶喪失になるエピソード、
2番サビ「祭囃子 打ち上がる花火 人混みの中 行こうよ!って僕の手を引く」はまんま花火大会のシーン、
最後の歌詞「そっと笑って」はさっきもちょろっと書いたけど、ラストシーンの春田ですよね。
それからこの映画自体を表しているのが
「風に乗って 香る金木犀が僕に伝えている もう夏は終わってるんだよ、と」という歌詞。
夏=子どもの頃ではなく、夏の終わり=大人になってからの「夢」という本作のテーマでもあります。
そしてもちろん、「OLって作品はもう終わってるんだよ」という意味でもある。
そして何より、
「いつの日かこの季節を越えて歩き出せたなら また記憶の中で」は
「OLという作品を越えて歩き出せたなら また記憶の中で(会いましょう)」ということなわけですよ!それがこの劇場版の答えなんですよぉぉ!
もうね、歌聞いてるだけで泣けてきますよほんと。
…重症かな?笑
他にも「武川さん足ドンの位置ドラマより高かった笑」とか「きんぴらごぼうの件は絶対、『芋けんぴは恋を呼ぶ』から来てるよな!」とか「もっと!牧と!春田の!ツーショットが見たかった!!!(切実)」とかまぁいろいろ書きたいことはあるんですが、とりあえずおしまいにします。
ところで、えっと…次の続編は、いつですかね??(爆発)
作品情報
- 監督 瑠東東一郎
- 脚本 徳尾浩司
- 音楽 河野伸
- 製作総指揮 早河洋
- 製作年 2019年
- 製作国・地域 日本
- 出演 田中圭、林遣都、志尊淳、沢村一樹、吉田鋼太郎、内田理央、金子大地、伊藤修子、児嶋一哉、眞島秀和、大塚寧々