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愛と銃弾【映画・ネタバレ感想】アクション、ノワール、ロマンス、コメディ、映画の全てが詰まったオールマイティミュージカル!!★★★★★(5.0)

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あらすじ

ナポリを牛耳るマフィア『魚介王』ヴィンチェンツォの用心棒チーロ。相棒のロザリオとともに、敵対するギャングから「タイガー」として怖れられていた。

一方、犯罪地区スカンピアで暮らす明るい看護師のファティマは、勤務中の病院で、ある犯罪の証拠を目撃してしまう。ヴィンチェンツォはタイガーの二人に彼女の殺害を命じる。しかし、チーロは彼女が若き日に純粋に深く愛し合った元恋人だと気づき、ファティマを連れ逃亡を決意する。

契りを交わした相棒も忠義のある組織も裏切り、血みどろの抗争へと足を踏み入れてしまったチーロ…

そう、全てはこの愛のために!

 

 

はい、最初に言っておきますね。

これ、超ド傑作です。

公式サイトと予告編を貼っておきますので、今すぐ観に行ってください。今日の話は終わりです。

「まるで銃弾みたいに感情を避けてしまう」ってよくよく考えたらかなりのパワーワード感あるよな…

 

…それじゃあまりにやる気がなさすぎるんで一応、以下感想を書いていきます。

が、もしあなたが、

ミュージカル、ナポリ、マフィア、ガモッラ、ナポレターナ、ネオメロディコ、ピーノ・マウロ、シェネッジャータ、マンマミーア、フラッシュダンス、インド映画、クライムコメディ、カッコいい殺し屋、ポンコツだけど憎めない悪役、無駄に死ぬザコ共、明るくて魅力的なヒロイン、義兄弟、どんでん返し…

の、いずれかの言葉が心に響くのであれば、今すぐ回れ右して是非鑑賞をおすすめいたします!

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本作のパンフレット、ちょいとお高めな1000円だったのですが、全字幕が載っている(要は楽曲の歌詞でもある)ので、映画が気に入った方は絶対買って損なし!監督のインタビューも興味深くて面白かったですよ〜

 

 

ノリとハズシの"こなれ"ミュージカル!

もともとこちらの映画の存在をわたしは全く知らなかったんですよね。SNSとかでも全然流れてきてないし(わたしのTLはほぼガラス、ボラプ、サスペの3色)、話題にものぼらないし、たまたまネットで最近公開の映画を検索してて見つけました。

予告を観て「なんかわたし好みな香りがする…」と思って、調べたら監督が宇宙人ワンさんのマネッティ兄弟で、観たいゲージが爆上がり!

予備知識ほぼゼロで鑑賞に臨んだわけですが…

いやはや、

参りました。ヤラレました。

「ミュージカル」というのは一応わかっていたのですが、ハイテンションな歌と踊りが畳み掛けるように次から次へと押し込まれてくるんで、もうずっと圧倒されっぱなし。このノリは、さながらインド映画です。けれどインド映画のように均一に統制が取れているわけではなく、その抜けとハズシが逆に洒落ているんですよ。ファッション雑誌的にいうと「こなれ感」てやつ?笑 うむ、さすがイタリア。

そして「えっここで歌う?ここで踊る?てか、あんたが踊るの⁉︎てかお前誰やねん!」みたいなサプライズが絶妙なおかしみを生んでいて「ミュージカルだからこその笑い」が巻き起こるんですね。

序盤でスカンピア(ナポリ随一の犯罪地区)に来た観光客が「スカンピアでひったくりに遭うなんてツイてる〜!!」と歌い出した時は劇場内も大爆笑でした。お前らが歌うんかい!てかなんだその歌詞は!このシーンでわたしの心は鷲掴みにされました。

f:id:minmin70:20190128163520p:image予告編映画『愛と銃弾』劇場予告編 - YouTubeより

そんなノリとハズシのミュージカルによって描かれるのは、組織を裏切り愛を貫く殺し屋と明るく純粋なヒロインによる王道なロマンスです。普通の映画だったらコテコテのメロドラマに陥りそうな題材ですが、この単純明快なストーリーだからこそ何でもアリなミュージカル要素が引き立つんですよね。まさに、生地と素材にこだわるナポリピッツァのように…(全然うまいこと言えてない)。

ちなみに、ヒロインを演じたセレーナ・ロッシさんはアナ雪のイタリア版でアナの声を演じているそうです。

彼女がメインで歌う『フラッシュダンス』メインテーマ「what's a feeling」のカバーがあったんで置いときますね。

パワフルでエモーショナルな素晴らしい歌声です!しかし本編ではバックで踊り出すデブの患者のせいで全く入ってこないというね…

 

 

 

以下ちょいネタバレ。

 

 

 

魅力的なキャラクターと映画愛

そしてこの映画を一層魅力的にしているのは愛すべきキャラクターたちです。

絵に描いたような二枚目の主人公チーロは、ワンショットワンキルを地で行くニヒルな殺し屋。裏切り者の自分を狙うギャングたちを先手を打ってサクサクと殺していきます。その姿はまさにアンチヒーロー!

そしてファティマは貧しい暮らしながらも明るく健気で、芯のある強い女性というのが実にラブストーリーのヒロインらしい。

 

そしてわたしが映画で常に重要だと思っているのは悪役の存在なのですが、本作の悪役のキャラは立ちに立ちまくっています。

ボスのヴィンチェンツォは奥さんの尻に敷かれてて威厳はまったくないポンコツなんだけれど、どうにも憎めない愛嬌があります。

そしてこの物語の発端となる、奥さんのマリア。「映画好き」という設定がすでに楽しいんだけど、「もうギャングの仕事は嫌だ、自由に暮らしたい」という夫のために、『007は二度死ぬ』を元ネタにして「死を偽造する」という突拍子もない思いつきをしちゃうんです。このバカげた思いつきにチーロはじめ手下たちが巻き込まれるわけですが…笑笑。

このボス夫婦のやり取りは完全に夫婦漫才で、本作のコメディリリーフを担っています。

マリアのこの「映画好き」という設定は最後まで一貫していて、もしかしたら監督の映画愛を体現しているキャラだったのかもしれませんね。(「アストンマーチン?デロリアン?」の件なんて観ていてこちらもニヤニヤしちゃう)

けれどそんなマリア、自分たちの欲望のためなら人殺しも厭わない女傑でありながら、若いメイドをいびる年配メイドを一喝する気概も見せる、一筋縄ではいかないキャラクターなのですよね。個人的には妙に親近感の湧く存在でした。

 

そして本作の中で特にわたしが心惹かれたのが主人公チーロの相棒であり、真の敵役ロザリオ。パンフレットのインタビューで監督も「ロザリオはサムライ」と言っている通り、彼は愛に生きようとするチーロとは正反対の「忠義にしか生きられない男」なんですよね…。義兄弟という二人のやりとりに腐った心も疼く疼く!

そんなロザリオが愛を貫くチーロと対峙する終盤のシーンには思わず涙がホロリ…としたいのにちょいちょいミュージカル要素が邪魔して笑かしてくるのがまた最高です!笑笑

 

 

映画の全てがここにある

わたしはこの映画を観終わって、「わたしが映画に求めているものが全て詰まっていたなぁ」と思いました。

アクションとロマンスとコメディとミュージカルが融合したオーバージャンルというかジャンルレスなスタイルと、思わず体が動いてしまうノリノリの楽曲。王道でありながらひねりも効いたちょいでん返しなストーリーと愛おしいキャラクターたち。そして随所に散らばる映画愛…。

わたしはやっぱりこういう、映画館を出た後に思わずスキップして帰りたくなる、身も心も軽くなるような幸福感に満たされた映画が大好きなんですよね。

 

映画って、何でしょう?

100人の映画好きがいれば、100通りの答えがあると思いますが、わたしは、映画には「ひと時の娯楽」であって欲しいという思いがあります。良い意味で「所詮は映画」なのですよね。

パンフレットのインタビューで監督のマルコ・マネッティが

映画は娯楽じゃなければと思っているからね。メッセージは潜在意識下で届くべき(以下略)

と語っていたんですね。そして、

僕らはとても自由だし、遊び心を忘れず、いつでもしっかりと、この仕事が真面目なものじゃないってことを意識してる。まじめに働いている人がいるなかで、僕らは真面目な仕事をしないという幸運に恵まれているわけだから(以下略)

とも。

わたしはこの監督のスタンスにとても好感を持ちましたし、これこそ彼らの映画が自由でユニークな理由なんだと思いました。

たかが娯楽、されど娯楽。

肩の力を抜いて楽しめる、素敵な作品でした。超超、おすすめですっ!!

 

余談:『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』を観た時も思ったんだけど、イタリアの歌ってどこか演歌のエッセンスを感じるんですよね〜。映画も任侠モノ(って言っていいのかわからんが)が多い気がするし…。なんとなく日本人と魂の部分で通じ合うものがあるのかも?

 

おそらく、本作が好きな方はこの辺りの映画も気にいると思います〜( ^ω^ )

 

 

作品情報