あらすじ
1981年、デイヴィッド少年にとり憑いた悪魔を払おうと悪魔払いをはじめた心霊研究家のエドと霊能力者ロレインのウォーレン夫妻。しかし悪魔の力は強大で神父の祈りも歯が立たない。少年の姉デビーの恋人アーニーの尽力により少年から無事悪魔を追い払えたかと思えたが、悪魔は今度はアー二ーに憑依。彼は悪魔に支配されたまま殺人を犯し逮捕されてしまうのだった。
ウォーレン夫妻は裁判でアー二ーが悪魔に憑依されていたことを証明するため、デビーや助手のドルーらとともに、アー二ーに憑依した悪魔がどこから来たのかを探ることに。やがて過去にも似たような事件があったことを突き止め、謎の解明に乗り出す。しかしその行動によって夫妻は逆に邪悪な存在から狙われてしまう……。
泣く子も黙る、「死霊館シリーズ」最新作!
わたしは後追い勢なのでぶっちゃけ正統派なファンとは言えないのですが、でも基本的にシリーズものを大して追わない自分が全作観てるというまれなシリーズなんですよね。
本シリーズ作品を映画館で観るのは『死霊館のシスター』以来。ワクワク楽しみにして観てきましたよ!
いやー、ウォーレン夫妻、てぇてぇ(眩しいものを見る人の絵文字)
(以下、映画の話は全然していません。ウォーレン夫妻が尊いって話しかしていません)
「実話」(あい)というの名の下に
一応このウォーレン夫妻が主人公の「死霊館」正規シリーズって、実在の人物や事件が題材になっていることもあり「実話」という名目がなされている作品群なんですね。
で、これを観て「実話なはずない」「さすがにやりすぎ」「あり得ない」って感想を持つ人もいると思うんですよ。てか実際に見かけました。
けどね、わたしからするとそういうご意見って、ナンセンス以外の何ものでもないなって感じなんですよね。
そもそも悪魔払いなんてインチキだろ、あんなことになるはずねぇだろ、盛り過ぎだろ、そんなこと、言われなくてもわかってるんですよ。でもこの映画で大事なのってそこじゃないんですよね。このシリーズの本質は「この夫婦の繋がり」なんです。それは「ウォーレン夫妻のにとっての」真実。
それは何か。二人の愛です。(は?まじめですよわたしは?)
目に見えないのは「悪魔」だけ?
いや、わたしもこのシリーズ大好きだし、ヴェラ・ファーミガ&パトリック・ウィルソンの役柄も大好きだけどね、もしね、もしもね、わたしの近くに実際にウォーレン夫妻みたいな人がいたら、さすがにわたしも、なんか胡散臭いなとか思うと思います(思うんかい!)。
実際、この映画の基となった「悪魔が殺させた裁判」の時だって、彼ら二人を取り巻いていたのは決して賞賛ではなかったはずです。当然、中には心ないバッシングもあったことでしょう(裁判の後にも憑依はデマだったなど、様々な憶測を呼んでいる)。
悪魔が人殺し?ばっかじゃないの?
この映画の中で、直接そのような言葉を投げかける者はいませんが、でも、その声は確かに存在し、夫婦に襲いかかったはずです。
二人が闘っていたのは「悪魔」そのものだけではなく「世論」という目に見えない敵との闘いでもあったわけです。
これは、今回だけでなく、ロレインが霊能者を名乗りはじめた時からずっとそうだったはず。それをエドが支え、二人は二人三脚、お互いにとってお互い以外は考えられない、真の理解者だったのだろうと思います。
本作では特に、そんな夫婦の繋がりをより強く感じられるエピソードが多かったように思いましたね。
世間から何を言われようと、周りからペテンだの嘘だの言われようとも、お互い信頼し合える伴侶がいるってのは何事にもかえがたいほど尊いものなんじゃないでしょうか。
実はね、この夫妻を観ててたまに思い出すのがゴーストライター騒動のあった佐村河内守氏のドキュメンタリー『FAKE』の佐村河内ご夫妻なんですよ。
なんだろう、うまく言えないけど、あのお二人には二人だけの「世界」があって、それは世間とかマスコミだとか大衆、なんてものでは絶対に揺らぐことのない何かがある、って感じさせられたんですよね。
でも多分、愛ってそういうものなんじゃないんですかね?
それから、本作では悪魔に憑依されてしまう青年アー二ーと彼を支える恋人デビーの若い二人がウォーレン夫妻の「夫婦愛」を補強させるような役割も担っています。
アー二ーは「悪魔のせい」とは言え殺人を犯し、犯罪者となってしまいました。世間的には立派な「悪人」ですよ。
でもデビーは彼を信じ続けて、悪魔の手から彼を救いだす。そして判決の日、マスコミにもみくちゃにされる彼に近寄り「愛してる」とキスをするんです。
なんて尊いんだ!!!
おばちゃんの目は眩しさでつぶれそうでしたよ……。その後二人が結婚し、今も仲睦まじく生活しているということに、なんだか熱いものが込み上げてきましたね。
その愛はいとやんごとなき
でね、これを観た時、どうしても思い出しちゃったわけ。世間を賑わすあの高貴なお方とそのお相手のことですよ。
些末なことを発端にして(些末なことですよあんなの)、そのご身分のおかげで声のでかいシモジモの一部の国民に結婚を反対され(うるせえだまれ)、お相手の方はバッシングを受け、追い回され、過去を掘り返され、人格否定され。それも、何年も何年も。見てるこっちも心が痛むのに、当人にしてみたらどれほどの傷を負ったことか。
そんなことにも思い至らずに、やれ「髪型が」だの「ふさわしくない」だの言えてしまう人たちって、悪魔より執念深すぎ。怖いわ。
愛し合う若い二人に言えることなんて「おめでとうお幸せに!」以外ないんですよ。まして、反対したり引き裂こうとする権利なんて誰にもない。
愛なんて、第三者が理解したり納得したりできるものばかりじゃない。でもね、それでもそこに愛し合う二人がいるならば、それはやっぱり愛なんですよ。
世間がなんと言おうと、幸せなら、OKです!
作品情報
- 監督 マイケル・チャベス
- 脚本 デヴィッド・レスリー・ジョンソン=マクゴールドリック
- 製作総指揮 リチャード・ブレナー、デイヴ・ノイスタッター、ヴィクトリア・パルメリ、マイケル・クリアー、ジャドソン・スコット、ミシェル・モリッシー
- 音楽 ジョセフ・ビシャラ
- 製作年 2021年
- 製作国・地域 アメリカ
- 原題 THE CONJURING: THE DEVIL MADE ME DO IT
- 出演 ヴェラ・ファーミガ、パトリック・ウィルソン、ルアイリ・オコナー、サラ・キャサリン・フック、ジュリアン・ヒリアード