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レゴムービー2【映画・ネタバレ感想】作ろう、より良い新世界。★★★★★(5.0)

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あらすじ

「おしごと大王」からブロックシティを救った"平凡な青年"エメット。しかし、新たな敵はすぐに現れた…。5年後、ブロックシティは壊滅し「ボロボロシティ」となっていた。そんな荒廃とした世界でも持ち前の明るさと能天気さは変わらずに、楽観的に暮らすエメットだったが、そんな彼に"ワイルドガール"ことルーシーは苛立ちを隠せない。

そんなある日、宇宙からやって来た何者かにルーシーやバッドマンがさらわれてしまった!エメットはみんなを救うため、そして自身を変えるため宇宙へと旅立つが…

 

 

予告編見た段階ではぶっちゃけ、大して期待してなかったんですよ。

だって前作でネタは出し尽くしちゃったし、続編なんて絶対にあの傑作を越えられる訳ないんだから、所詮は出がらしでお茶を濁すつもりでしょ┐(´∀`)┌ヤレヤレ まぁレゴムービー好きなんで観るけどさー┐(´∀`)┌ホレホレ

な~んて完全に鼻ほじりのナメくさった態度だったんですけど…

 

ねぇこれ、傑作じゃない?大傑作だよね?

 

いやもう、レゴムービーとしても最高だし、続編としても最高。まじで全てはサイコー!!!だった!!

 

 

一緒に遊べば、"もっと"全てはサイコーー!!

まず前作の直後からはじまるってのがびっくりだし、前作の大オチを全面に押し出してきてメタメタのメタをやりまくる展開にもドギモを抜かれました。

てかねー、もうね、白状すると、最初からずっとうるうるしっぱなしでした…。幼い頃の思い出とか、大人になってから感じたいろんなことが頭の中を駆けめぐって、新キャラの「レックス・デンジャーベスト」の正体が判明する頃には涙でボロボロ。そこからの「全てはサイコー、じゃない、でも…」に、もう泣けて泣けて。

それから、我が家には6歳児と2歳児の兄弟がおるので、母親として感じ入るものがありましたね(レゴ踏んだ痛さの表現にも共感しつつ笑)。わたしもつい安易に「アルママゲドン」発動しちゃうんだけど、それじゃあなんの解決にならないこともあって、本作の「おしごと大王」のようなスタンスも大事だよなと思いました。

 

観終わったあと、6歳児は「レゴいっぱいだった!」「ラプトルが出てきた!」て所ばかりに大興奮だったんで、「まぁ6歳にはちょっと難しいお話だったのかもなぁ…」なんて思ったんだけど、帰ってきて弟とレゴで遊びながら、

「レゴはね、一緒に遊んだ方が楽しいんだよ!!」

と話しててね…。

あぁ、ちゃんと伝わってたんだなぁって、母ちゃんはお台所の隅でそっと涙を拭いました(´;ω;`)

…とか言いつつご飯時になっても散らかしっぱなしだったのでさすがにアルママゲドン発動しましたけどね!!

 

 

子どもも、かつての子どもも。

泣ける泣ける言ってますが、基本は子どもでも大ウケなギャグとレゴアクション満載な笑えてワクワクできる、めちゃくちゃ楽しい映画です。換気ダクトのブルース・ウィルスとか、「クリスチャン・ベールよりマイケル・キートン」とか映画ネタも盛り沢山で大人も楽しめます。

春休みももう残り少ないですけど、是非、親御さんにはお子さん連れて一緒に観ていただきたいですね。

あ、あと、本作の本番はむしろエンドロールなところがあるので、エンドロール変態(過去記事参照)じゃなくても最後まで観てね!

あ、それから「吹替しかやってない!」とお嘆きのお声が聞こえますけど、わたしとしては若干老眼ぎみなので(苦笑)、彩度高めなレゴ映画のあの情報量ではもはや字幕までは追えません…。英語が聞き取れる方は別ですけど、特にこだわりがないのであれば吹替でも十分だと思います。歌パートもちゃんと日本語で歌ってくれますしね!

「This song's gonna get stuck inside yo, This song's gonna get stuck inside your head~」より「この歌頭にこびりつく~よ~この歌頭にこびりつくよ~(*σ´ェ`)σ」の方が頭にこびりつくよ。

 

観れば、レゴ好きじゃない人はきっとレゴで遊びたくなるし、レゴ好きならもっともっっと!レゴが大好きになれるはずです。

子どもはもちろん、かつて子どもだったすべての人におすすめしたい映画です!!!

 

 

と、もうすでにいろいろ書いちゃってますが、以下も盛大にネタバレしつつつらつらと。

前作『レゴムービー』と、唐突にジョン・ファブローの『ザスーラ』についてもバラしてますので未見の方はご注意を~

 

わたしの他のレゴ映画の感想はこちら。

 

 

 

 

ごっこ遊び(=現実の疑似体験)としてのレゴ

とにかくすげぇなと思ったのは、現実世界とのリンクが前作より激しくなってるところ。

それはなぜかっていうと、前回は「お父さんと遊びたい息子の話」という子ども一人の物語だったですが、今回は「お兄ちゃんと遊びたい妹の話」と「成長するお兄ちゃんが葛藤する話」という二人の子ども=物語の想像主が存在するために、それぞれの現実が入り交じるわけです。本作は前作より一層、レゴによる子どものごっこ遊び的な側面=「疑似体験」性が高まっているのです。

 

前作から5年後ということで、子どもだったフィンくんも立派なティーンエイジャー(ミニフィグたちも、エメットのサスペンダーやルーシーの髪など経年劣化を感じさせる演出がニクい)。荒廃した「ボロボロシティ」は彼の心象風景そのもので、「マッドマックス」的な一人の世界に浸りたいという厨二病的な心境に陥っているだろうことは想像に難くない。

そんな「ボロボロシティ」でも以前と変わらず楽天的なエメットはフィン少年の本質であり、良心ですよね。その「自分の本質」さえも変えたいと思うフィン少年の葛藤が、「レックス・デンジャーベスト」を生み出したわけです。(弟を欲しがっている、とエメットに指摘されている)

彼が「大人」に成長したいという気持ちには共感するし、「あの頃の自分」を捨て去りたいとの思いにも、かつてのティーンエイジャーとしては身につまされます。

 

一方、妹であるビアンカは「大人」へと背伸びするお兄ちゃんの変化をまだ理解できないし受け入れられない。妹ちゃんの中ではずっと、あの時「ハート」をくれたお兄ちゃんのままなんですよね。だから妹ちゃんはレゴを通して、彼を引き戻そうとする。変わってほしくない、そばにいてほしい、ずっと一緒に遊びたい…(その表現方法が「結婚式」ってのがいかにも、でほっこりしちゃう)

そしてお兄ちゃんのほうも、妹サイドのストーリーを通して「大人になっても本質は変わらない、変えちゃいけない」ってことに気づいていく。擬似的なタイムトラベルによってお兄ちゃんは「本当の自分(=エメット)」を取り戻し、「大人になること」の本質を感覚的に理解するわけですよ。そして厨二病の終わりとともにもう一人の自分であるレックス・デンジャーベストは役目を終えて消えていく…(彼の役割とその最後は『ザスーラ』の宇宙飛行士と被りますね)。

この、お兄ちゃんサイドと妹サイドのストーリーが重層的に合わさって、お互いのストーリーを完成させるという展開が非常に秀逸だなと思いましたし、互いを補完し合うという「きょうだい」の良さを再確認させられました。

 

 

世界は、変えられないから、変えられる。

そしてこの「本質は変わらない、変えちゃいけない」という部分はレゴの形状と通じるものでもあります。レゴは「形を好きなように変えられる」おもちゃですが、パーツの規格は絶対に変えられない。なぜなら規格が均一だからこそそれぞれのパーツを好きなように組み合わせることができるのです。

変えられないから、変えられる。一件すると矛盾しているこの要素をレゴは叶えているわけです。

そしてエメットも「平凡で」「マニュアル人間」でほかのミニフィグとは違って個性に乏しい。でも、だからこそ何にだってなれる、それこそ「選ばれし者」にだって。無限の可能性、それは子どもの未来そのものだと思うのです。

確かに、あれだけのレゴがあるってところには限りないブルジョワジーを感じますし、そこに含まれるメッセージはあまりに楽観的だと批判する人もいるかもしれません。でも、わたしは本作に溢れたネアカ的な楽観主義がとても好きだし、希望も感じます。

わたしは「レゴは一緒に作ると楽しいんだよ」と言った、子どもの未来と可能性を信じたいのです。

 

ちなみに、本作を観たのがたまたま4月1日で、映画館を出ると外の人たちが「新元号は令和」だと騒いでいました。その狂乱をさめた目で見ながら、新しい時代へ向かっていく風と、変わりゆく世界への畏れとそこから取り残されたような寂しさを、感じている自分がいました。

世界は変わる。

もちろんその世界は「全てはサイコーじゃない」かもしれない。でもきっと、自分の本質さえ変わらなければまた、より良い世界に作り替えることができる「希望がないわけじゃない」。

お兄ちゃんが妹のハートを受け入れ、二つの世界が一つになったように。もしかしたらまたアルママゲドン(笑)が起きるかもしれないけど、それでもきっと「スクラップ&ビルド」でより良い世界に作り直せるはずだから。

レゴの世界がそうならきっと、現実の世界だって。

 

 

 

作品情報
  • 監督 マイク・ミッチェル
  • 製作総指揮 ジル・ウィルファート、キース・マローン、マシュー・アシュトン、クリス・マッケイ、ザレー・ナルバンディアン、ライアン・ハルプリン、ウィル・アレグラ、クリス・レイヒー
  • 脚本 フィル・ロード、クリストファー・ミラー
  • 音楽 マーク・マザースボウ
  • 製作年 2019年
  • 製作国・地域 アメリカ
  • 原題 THE LEGO MOVIE 2: THE SECOND PART
  • 声の出演 クリス・プラット、エリザベス・バンクス、ウィル・アーネット、ティファニー・ハディッシュ(日本語吹替版 森川智之、沢城みゆき、山寺宏一、斉藤貴美子、坂本真綾)
  • 映画『レゴ® ムービー2』オフィシャルサイト