あらすじ
マーリンとドリーがニモを探す旅から帰ってきて一年後。ドリーはひょんなことから自分の家族のことを思い出す。なんでもすぐに忘れてしまうドリーは、マーリンとニモの手を借りて両親を探そうと旅に出るが…。
予告編を映画館で観てから親子でずっと楽しみにしていました〜!
すごく、面白かったです!すごく!!
これはもう、文句なしに最良の続編です。映像、ストーリー、全てにおいて前作を凌駕しています。
前作のわたしの感想はこちら。
そう、そうなんだよ!続編を作るならやっぱり前を超えてくれないと!!
最近あまり面白い続編に出会えていなかったのでね…。
まずね、何をおいても先に言っておきたいんだけど、
ベビードリーがちょうかわいい!!
「わたしどりぃ。なんでもすぐわすれちゃうの」あぁん舌ったらずがまた超絶かわいい〜!!
入場者特典にこんなかわゆいシールをもらったよ。子どもの分と2枚くれました!わーい!
前作では「親子の絆」や「子どもの力を信じること」を全く説教くさくなることなく、感動的に描いていましたが、今作ではその精神性にプラスして、「短所は個性」を前面に押し出したストーリーとなっていました。
ドリーは重度の健忘症というか、つい数秒前のことも忘れてしまうんですね。それは普通に考えたら短所だし、生きる上ではかなりのハンデです。
でも、ドリーの両親もその仲間たちも、それを彼女の個性だと受け入れているんですね。誰も彼女を否定しない。そして、彼女をサポートすることが当然だと思っている。この寛容さ!(慎重派なマーリンは時々ドリーとぶつかることもあるのだけれど)海の仲間にとって、ドリーの「忘れやすさ」は短所でもハンデでもない、「彼女らしさ」なんですね。
そして、それはある意味ドリーの強みでもある、っていう。後ろを振り返らず、前を見て、困難にぶつかっても決して諦めずに、誰も思いつかないような方法で打開策を見つける。ドリーは自分の短所を補うように、「常識にとらわれない自由さ」という長所を身に付けているのです。
それはひとえに、ドリーの両親の育て方によるものだろうと思います。
今作はある意味、ハンディキャップを持つ子とその親の物語でもありました。
他にも今作では「普通とは違う」海の仲間が多数出てきます。
足が7本しかないタコのハンク、近視のサメのデスティニー、能力を生かせないシロイルカのベイリー…そんな彼らが協力して危機を乗り越えようと奮闘する展開には、胸も目頭も熱くなります。
コワモテな振りして情に篤いハンク。男前タコ!
そして、無駄に(?)大活躍の八代亜紀さん(笑)。彼女のファンは是非吹替版で観てね(字幕版ではシガニー・ウィーバーです)!
エンドロール後にはオマケで前作の仲間も登場します。最後まで席はお立ちにならない方が良いと思いますよ〜。
以下ネタバレ。
前作を凌ぐ美麗な映像!
やはり、まず映像の素晴らしさは伝えておきたい。新作ごとに驚きの映像美を見せてくれるピクサーですが今作における海(および水)の表現もかなりこだわり抜いて作られたのだろうと推察できます。
砂の質感と印影の緻密さ!海面が揺らぐ度に変化する光彩!実写よりも美しい海の世界。
映像を観るだけでもお金払う価値があると思います。そしてただ美しいだけでなく、海や水の色と印影そのものがドリーやマーリンたちの心象風景としても機能しています。
ドリーが迷い落ち込んでいる時は暗く、解決の糸口が見えた時には明るくなる。明暗の使い分けがわかりやすくて巧みです。さすがはCGアニメ界を牽引し続けるピクサーさん。
子どもを信じる、信じ続けるということ
両親を探す旅に出たはいいものの、マーリンとニモとはぐれてしまったドリー。八代亜紀さんの声に導かれ(笑)やって来たのは「海洋生物研究所」。そしてそここそが彼女の生まれ故郷だったのです!
人間の世界で暮らしていたから前作で彼女は字が読めたんですね。
ドリーは海洋生物研究所(ようは水族館みたいなもの?)で両親と暮らしていたんだけれども、外につかながるパイプの水流に飲まれて海に放り出されてしまったのでした。
ドリーの故郷、「オープンオーシャン」。
ドリーは「オープンオーシャン」と呼ばれる大水槽に住んでいたことを思い出し、タコのハンクの協力を得て、両親と暮らしていた家までたどり着きます。けれどそこに両親の姿はなく…。ドリーはもう彼らはこの世にはいないという絶望的な現実を突きつけられてしまうのでした…。
しかし、実はドリーの両親は生きていました。ドリーの後を追い、海へ出た二人は、いつかドリーが戻ってくると信じて待ち続けていたのです。彼女の好きな貝殻を並べながら…。
そんなこととはつゆ知らず、打ちひしがれたドリーは再び海へ放り出されてしまいます。海底で途方に暮れていると、自分が幼い頃好きだった貝殻を見つけます。貝殻をたどっていくと、その先にはかつて暮らしていた家に似た形のサンゴ礁が。そこへ現れたのは二匹の老いたナンヨウハギ…それはドリーの両親!ついにドリーは家族との再会を果たしたのです。
四方八方に並べられた貝殻の画が、わたしは再会のシーンよりも感動しました。あの貝殻の数は、両親のドリーへの愛情の量そのものだと思ったから。そして彼らがドリーを「信じ続けた」証拠だと思ったから。
「子どもの力を信じる」そして「信じ続ける」ということ。それは親にとっては勇気のいることです。でももしかしたらそれが子育ての本質なのかもしれないな、とも思いました。
欠点だらけの仲間の活躍
ラストの展開も熱かったですね〜。
ニモとマーリンを救い出そうと、「普通とは違う」仲間たちが力を合わせます。ドリーはその発想力を生かし、かつての友人でサメのデスティニーとシロイルカのベイリー、そしてハンクの助けを借りて、ニモとマーリンの乗せられていたトラックを奪還。水族館の仲間とともにトラックごと海にダーイブ!
この一連のアクションはもう手に汗握るハラハラ感。緩急の付け方も神技級で、下手な実写のカースタントより迫力ありましたよ。隣の子どもも、ポップコーン食べるのも忘れてスクリーンにくぎづけでした。
そうして、魚たちは本来の住処である海へ、マーリンとニモ、ドリーたちはサンゴ礁の我が家へ戻ってきました。タコのハンクは、仲間と故郷に帰省したエイ先生の代わりに学校の先生に。是非次はハンクを主役にして作って欲しいですね〜。彼は海にどんな嫌な思い出があるのでしょう…?
彼の足が7本なのは、ふれあい水槽の子どもたちのせいらしい。
ドリーは「忘れる 」ことは変えられなくても、これからも誰かの助けを借りながら、そして自分の力を信じて、ずっとこの海で生きていくことができるでしょう。
最後に「わたし、やったのね」と言うドリーの目の前にはキラキラと輝く海の景色が広がっていたのでした。
というわけで、親子ともに大満足!
もしかしたらわたしは「ニモ」よりも好きかもしれないなー。ディズニーの「ズートピア」といい今作といい、かわいらしいキャラクターを使って、実に嫌味なく正論を訴えかけるストーリーテリング力は見事と言うほかないですね。
人は誰しも長所と短所を持ち合わせている。でも、皆がその長短を補い合えば、誰もが自分らしく生きることができるはず…。
観終わった後は清々しく、人に優しくなれるような映画でした!年齢、男女問わず楽しめる作品だと思いますよ。
同時上映の短編、「ひな鳥の冒険」もよかったです!!
小鳥の仕草がかわいすぎるよう…。そして映像は目眩がするほど緻密で美しい!特に砂つぶと波の泡!