あらすじ
清掃業をしながら細々と暮らすジャスティンとアーロンの兄弟は、10年前にカルト教団から脱走した過去を持つ。その時の妙な生活のせいで恋人はおろか、友人もいない孤立した日々を過ごしていた。
そんな二人のもとにある日、教団からビデオレターが届く。兄弟は過去と向き合う決意をし、再び教団のある村(コミュニティ)を訪れることにする。脱走した二人を教団の人々は温かく迎え入れてくれるが、ジャスティンはこの村をとりまく異様な雰囲気に気付きはじめる。何かの気配、説明のつかない怪現象、彼らが信奉する「あの方」…。一体この村では何が起きているのか?
そこはかとない不思議さ
えーとね、原題が全てを物語っているので検索しちゃダメです(わたしも下の作品情報欄に書いちゃったけど)。…って映画はじまってすぐ原題出てきちゃうんで、その時点で勘のいい人はこの映画のカラクリに気づいちゃうと思います。
うん、でもねー、なんか不思議な魅力のある映画でした。
ネイチャー系ホラー風味オカルトSF(すごいフワッとした説明 笑)といった感じで、すんごいクリーチャーが出てくるとか、めちゃくちゃ怖いことが起こるとか、そういう類の映画では全然ないんですよ。
最後には特殊効果でデカイのがどかん!てのがあるにはあるんだけど、それよりも空に3つの月が浮かぶとか、境界を作る妙なオブジェ?とか、空から降ってくるロープとか、謎の小屋にびっしりと保管されていたビデオやフィルムのシーンなんかの方がゾゾっと来ました。(あと、テントとヤク中の小屋でのアレ)
いろいろ謎は残ったままだし、矛盾っていうか辻褄が合わないところも多々あるんだけど、「そこはかとなく不思議」な雰囲気が、わたしはたまらなく好きでしたね。
イサーク・エスバンとか好きな人は気にいるんじゃないかな。
兄弟萌え。
あとわたし、こういう「いろいろあってこじれてる兄弟(でも本当はお互い大好き)」て設定が好きでさ〜。この二人の関係がめっちゃツボだった(^∇^)
後半に弟が「ここに残る」とか言い出すのね。でも兄はこの村の異常さをわかってるから、なんとか説得しようとするんだけど、「兄さんに言いなりばかりの人生よりましだ」とか言われちゃうわけ。ガーン!
で、いろいろあって「わかったよ、俺もここに残る。お前を残して帰ったら一生後悔しそうだ」とか言うからさ、もうわたしってば心の中でオニーチャーーン!(つД`)ノですよ。
そしたらそれを聞いた弟がさ、「帰ろう。僕はただ、兄さんを振り回したかっただけなんだ」とか言うからもう、
オマエラーーーー!!(*´Д`*)
最高だぜ。
冒頭で『人は得体の知れないものを怖れる』というラブクラフトの言葉とともに、『兄弟は死ぬ間際に本音を言い合う』っていう伝承者不詳の言葉がテロップで出るんだけど、そのアンサーとしてラストにピンチに陥ってお互いの気持ち(「お前を弟として愛している」)を語り合うのもグッときたわぁ。
主人公の兄弟を監督のジャスティン・ベンソンとアーロン・ムーアヘッドの二人(役名も一緒)が演じてるって聞いて、なんかニヤニヤしちゃった(o^^o)
以前監督した『キャビン・イン・ザ・ウッズ』とも一部関連してるところがそうな。
気になる監督さんになりましたので、過去作も観ていこうかなと思います。
以下ラストのネタバレ↓↓
実はこの地域全体が、教団の人たちが「あの方」と呼んでいる謎の存在が作り出した、時間をループさせる境界に囲まれていた。「あの方」は常に彼らを監視しており、度々写真やビデオによってその様子を気まぐれに送ってくることがあるようで、兄弟に送られてきたビデオレターも「あの方」によって送られたものだと判明する。村の人は3つの満月が現れるたび、「あの方」に生贄にされるループを繰り返しており、間も無く3つ目の月が満たされようとしていた。
森には他にも境界に囚われた人がおり、それぞれループの間隔も違っていた。しかし皆死ぬことで、そのループのはじまりに戻ってしまう。その事に気付いた兄弟は「死ぬのは嫌だ」となんとか必死に村を抜け出す。二人は互いの中にあった過去のわだかまりを乗り越え、未来を生きる決意をするのだった…
(ただ、予告編の絶賛ぶりは言い過ぎな気もします)
作品情報
- 監督 アーロン・ムーアヘッド、ジャスティン・ベンソン
- 脚本 ジャスティン・ベンソン
- 音楽 ジミー・ラヴェル
- 製作年 2017年
- 製作国・地域 アメリカ
- 原題 THE ENDLESS
- 出演 アーロン・ムーアヘッド、ジャスティン・ベンソン