あらすじ
猛暑が続く夏休み。ドラえもんとのび太はかき氷を食べ放題しようと、どこでもドアを使って南太平洋に浮かぶ氷山へやってきた。かき氷を食べまくり、氷細工ごてで作った遊園地で遊び、氷山を満喫するドラえもんたちだったが、氷の中からのび太が金の輪(リング)を見つける。調べてみると、リングが10万年前の南極で凍ったものだとわかる。「これを持ち主に返してあげようよ!」のび太の一言から、10万年前の南極への大冒険が始まった…!
毎年恒例春のドラえもん映画でございます。昨年の『新・のび太の日本誕生』が良リメイクで、「子どもが大きくなるまでは一緒にドラえもん映画を毎年観に行こう!」と思ったんですね。
今年も長男(5歳) と3ヶ月の次男、夫と家族四人で観てきましたよ〜。
本作は公開前からポスターがなかなか凝っていて話題になっており、楽しみにしてました。色鉛筆で描いたような色彩と、シンプルだけれど深読みを掻き立てられる文言(特に「時を超えるのが友情だろ。」「氷は透明なタイムマシンなんだ。」が好き)にドラえもんのくせに(笑)センス良過ぎ〜!と思いました。
「映画ドラえもん」新ポスターが超カッコよくて大人もぐっとくる 起用の理由は?
とは言え、最近のドラえもん映画のオリジナル新作はあまり面白かった記憶がなく、今年に入ってAmazonプライムで過去の劇場版が観られるようになっていたので、一通り観ましたが、やはり水田ドラのオリジナル新作はことごとくハズレでして…。特に『奇跡の島』は本当にどうしたもんだろうとしか言えない代物で、怒りすら覚えた。
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まじク○です。(好きな人いたらごめんね)
そんなわけで、本作も過剰な期待はせず、温かい目で見守ろうと思った次第です。
ちなみに、本作の導入部(氷細工ごて)は漫画(18巻)『大氷山の小さな家』から。アニメにもなってます。
…結論から言うと、ドラえもん映画としては凡作でしょうが、最近のオリジナル映画の中では良くできていた方じゃないかな?という印象。
パオパオが、かわいいよ!!
以下ネタバレ。
知られざる南極&氷山トリビアに感心!ニッチすぎるひみつ道具に苦笑
南極の氷の厚さは富士山よりも高い、氷山は南極で降った雪の塊で、中央で固まったものが少しずつ海へ押し流されたもの…だとか、豆知識にはたびたびへぇ~と思いましたね(ミニドラを使ってわかりやすく説明してくれるのもかわいくてよい)。
それから、本作でのキーワードとなる「スノーボールアース」という仮説。そして南極の氷の下にアトランティスが⁉︎(おなじみスネ夫のいとこ情報)なんていうのも、『大魔境』のヘビースモーカーズフォレスト、『海底鬼岩城』のバミューダトライアングなどと同様、こういう都市伝説的なミステリーは子どもゴコロのワクワクを掻き立てますよね。
さて、本作で重要となるひみつ道具は「氷ざいくごて」と「タイムベルト」(とその電池)なわけですが、その他のひみつ道具がニッチすぎてね。ピーヒョロロープでソリを引く、ここほれワイヤーで遺跡を探す…いやいや、他にもっといい道具あるだろっていう(笑)。でも、こいう姿勢が映画ドラえもんだよな、とも思うけど。
さて、南極の氷の下で、氷漬けにされたパオパオのモフ助とドラえもんそっくりな石像(『魔界大冒険』オマージュ?)を発見した一行。タイムベルトで10万年前の南極にやってくればそこには無人の古代都市が広がっており、そこでリングの落とし主カーラとパオパオのユカタンに出会う。カーラは古代人の作り上げた石像ブリザーガに凍らされてしまった故郷ヒョーガヒョーガ星を元に戻すべく、古代ヒョーガヒョーガ星人の遺跡を巡って研究しているのだとか。
けれどリングが外されたことで南極のブリザーガも目覚めてしまったためにこのままでは地球も凍りつく自体に。一旦10万年後(現在)に戻ってくるもドラえもんが置き去りにされてしまい、タイムベルトも電池切れで大ピンチ。
けれども実はモフ助がドラえもんに電池を託されたユカタンと判り、のび太たちは再び10万年前に戻り、ブリザーガを封印することに成功。また、遺跡から大量のリングが発見され、ヒョーガヒョーガ星の未来にも希望がみえた…。
ラストに10万光年離れた=10万年前のヒョーガヒョーガ星を天体望遠鏡で見ると氷が溶けて緑の星になっているって言う、時間と宇宙の神秘が重ね合わさる描写もロマンがあって好きでした!
時空に阻まれた友情!ドラえもんののび太への思いに泣く…
10万年前に残されてしまったドラえもんが「あきらめちゃだめだ。のび太くんには僕がそばにいなくちゃ」って言うところが感動しました。自分の心配じゃなくて、自分がいなくなった後ののび太を思いやるドラえもん。そして電池の切れたタイムベルトを叩いたりしてなんとか動かそうとするのび太。二人の互いを思う気持ちがひしと伝わってきましたね。
それにしてもタイムベルト…単2電池で動くんだ…。
氷漬けにされたモフ助がユカタンだと判明する件は素直におお!と思いました。体の色が黄色→青になるのもドラえもんがそうなのと同じだし。でも、取り残されちゃうのかわいそうだよなぁ…。「(助けたら)歴史が変わっちゃう」って言ってたけど、そもそもブリザーガを倒した時点で10万年前にリングは氷漬けにされていないことになるわけで、つまりのび太たちはリングを発見しない→南極に来ない→ユカタン=モフ助は氷漬けにされたままになる…ってことになるよね?あれ?他のリングが水の中に落ちる描写とかなかったよね?
おいおい、そこ重要なとこだから!まぁそこはドラえもんだからな。『鉄人兵団』もタイムパラドックス的に考えたらおかしな話なわけだし、そこは勢いで押し切るのだ(笑)!
↑上記矛盾していない、とのコメントいただきました。勘違いしていたため訂正します!
のび太の持っていたリングは10万年後なものなので、10万年前(ブリザーガ封印時)のリングはまだ水の中にある、ということですね。とんだ勘違いをしてしまいました…。ほんとスミマセンっ!!(←お前そこ重要なとこだからなっ!バシッ)
ほとばしるジブリ感とドラえもんリスペクト!
古代都市に着いてからずっと「なんかジブリ感あるなー」と思い観ていたら、監督の高橋敦史さんはジブリ出身で千と千尋の監督助手などもされていた方だったんですね。納得です。
序盤にイカの化け物から逃げる様はカオナシの大暴れシーンを彷彿とさせるし、ブリザーガなんてもののけ姫のデイダラボッチと巨神兵だし、遺跡が崩壊していくシーンにはラピュタを連想させるような描写もチラホラ。だけれどもそれはパクリというのではなく、「身に染み付いたものが滲み出ている」といった風情なのでどちらかというとわたしは好印象でした。
というのも、おそらく全体的に「ドラえもん」へのリスペクトがしっかりとあるから。物語のキモであるタイムパラドックス然り、もしかしたらと胸躍らせてくれる都市伝説ミステリー然り。F氏のSF(すこし不思議)は日常と乖離しそうでしない、その絶妙な塩梅にあると思うのですよ。『奇跡の島』でわたしが嫌だったのはその辺りの考え方が希薄で、「未来のわけわからん島になんや不思議な力があるらしいねん」ってナニソレ?「これドラえもんでやる必要ある?」って言うね。でかいカブト虫出しときゃ男児喜ぶでしょ的な安易な考えが透けて見えて…って奇跡の島の話はもういいか(笑)。
のび太の優しさが自然に表されている(スネ夫とジャイアンに責められるカーラを「ただ自分の星を救いたかっただけなんだ」と擁護するのもよかった。そう、のび太は共感力が高いんですよ!)ところもいい。最近ののび太の「とってつけた優しさ描写」には違和感を感じていたので。
それにちゃんと全員に見せ場があるのも好き。ジャイアンはお得意の歌で敵を撃退するし、スネ夫なんて足でちょんとやって凍らされたブリザーガを壊すというおいしい役所を持っていくしね。
ただ、ニセドラえもんの件は正直必要なかったかなーって気はした。のびドラの友情の深さを表現したかったのでしょうが、あれなくても十分伝わったと思うよ。
そんなわけで、わたしは概ね満足の映画ドラえもんでした!来年はリメイクだとすると、おまけの海賊姿のドラえもんから察するにもしや…『南海大冒険』のリメイクなのか?
あの、吉川ひなのによる大事故オープニングと謎エンディング曲(意味不明なセリフあり)の南海大冒険なのか…⁈
歌は下手だわ曲調も歌詞もドラえもんと合ってないわでもう最悪の主題歌ですよ(笑)。これを聞くと永ちゃんもSPEEDもましな主題歌に思えるから不思議。
あ、ちなみに本作の平井堅の主題歌は意外とよかったですよ!割りかし単純なメロディラインにシンプルに見えて新鮮なコード進行。思わずサビを口ずさんじゃいます。
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