あらすじ
在仏米大使館で働くリース(ジョナサン・リース・マイヤーズ)。しかし、その真の顔はCIAの捜査員だった。とは言え指令といえば車のナンバー付け替えや盗聴器設置など小物仕事ばかり。それでもいつか大きな仕事を任せてもらえると期待していた。私生活では恋人キャロリン(カシア・ムストゥニアク)から逆プロポーズされるなど充足した日々。ある日司令部から空港の税関で捜査官が足止めをくっていると連絡が入る。しかしそのベテラン捜査官・ワックス(ジョン・トラボルタ)はとんでもなく破天荒な捜査員で…。
あははは!げらげら笑った!
全編にわたり、トラボルタ!トラボルタ!トラボル太!
ストーリーは無いに等しく、とにかく既視感ありありの銃撃戦、カーチェイス、アクションが繰り広げられるだけの映画。つまり、午後ローにぴったり(笑)。でも、トラボルタがあまりに素晴らしい(後述)のが、ほかのB級アクションと一線を画しているところ。
タイトルはもちろん、007の「ロシアより愛を込めて」から。
以下ちょいネタバレ。
トラボルタを愛でる映画です!
さて、すでに書いたように、タイトルの元ネタは007だろうと思います。なので序盤に恋人が出てきた時点ですでに敵が誰なのかわかっちゃうので、そういう面白さはゼロ。それにヒロインが愛と使命に引き裂かれる葛藤のあった007に対し、こちらはラブストーリー部がかなり軽いので、終盤の展開には全く感情移入できず。はっきり言って、どーでもいーです。
テロ組織のバックボーンについてはなんの説明もなし(とりあえずイスラム系の新興宗教っぽい)。なので目的もさっぱり。キャロリンの思想もわからない…ってかいいんだよ細けぇことは‼︎
この映画の肝はなんといってお目めギラギラ、ゴツゴツ坊主のジョン・トラボルタの暴れっぷりなのですから!
初登場シーンからキレッキレ(別の意味で)。フランス人の空港職員をクソッタレ!とひたすら罵るですが、その文言が何ともバカバカしくて面白い。
「アメリカはフランスを戦争で2回も救ってやったのに〜」とか、「フランスはアメリカ嫌いのクソッタレだ!」とか(笑)。
トラボルタのアクション映画と言えば、みんな大好きニコラス・ケイジと共演した『フェイス/オフ』や、『ソード・フィッシュ』など、どうも狂った悪役が多い印象(今作は悪役じゃないけど)。ただでさえキラキラした青眼が、坊主になったことで余計にギラギラ際立って、凄みを与えています。
えせキャングみたいな衣装も素敵です。50過ぎてあんな格好が似合う(?)人ってそうそういないよ。
ヘタレ捜査官リースを演じたジョナサン・リース・マイヤーズも素直で真面目な優男振りで好演。ウディ・アレンの『マッチポイント』でのクズ男が有名ですが、わたしの中では格好いいけどあんまり印象に残らない人なんだな〜。
バディものとして観るか、BLとして観るか?
今作は一応バディものというくくりになるのでしょうが、「背中合わせで銃を撃ちまくる」とか、「相棒の背後にいる敵を撃つ」みたいなコンビネーションはなく、ひたすら銃を乱射するのはトラボルタの仕事。マイヤーズはぶつくさ言いながらその後ろをついていくという格好で、むしろ二人の掛け合いをニヤニヤしながら見るのが正解。
微笑ましかったのはスタートレックの好きなキャラの話になったシーン。
「お前、スポックが好きなのか?」と尋ねるワックス。それに対してリースは半笑いで「ウフーラだよ」と返す…みんな、笑っていいところだよ!
まぁー要するに、そういう映画です(笑)。
「ワックスかける!ワックスとる!」の謎の暗号を「ベスト・キッドかよ!」と突っ込むところがあったり、ちょいちょいセリフにバカバカしいギャグを入れて来るのもヨーロッパコープ的で由。
ところで、マネキン倉庫での銃撃戦ってどの映画が発祥なんでしょうか?B級っぽい映画(含ホラー)で出てくる割合多い気がするんだけど。
トラブル太★★★
午後ロー度★★★
ジェームス・ボン度☆
総合★★☆(2.8)
作品情報
- 監督 ピエール・モレル
- 製作総指揮 ヴィルジニー・ベッソン=シラ
- 脚本 アディ・ハサック
- 音楽 デヴィッド・バックリー
- 製作年 2010年
- 製作国 フランス
- 原題 FROM PARIS WITH LOVE
- 出演 ジョン・トラヴォルタ、ジョナサン・リース・マイヤーズ、カシア・スムートニアック、リチャード・ダーデン