あらすじ
隕石が落ちずに、恐竜が絶滅しなかった地球。
臆病で怖がりなアパトサウルスのアーロは、何をするにもびくびくしてばかり。ある嵐の日、父親と川へ向かった際、アーロの父親はアーロの目の前で濁流に飲まれて死んでしまう。悲しみに暮れていたある日、アーロの前に人間の少年が現れ…。
ひさびさに休日のシネコンに赴きました。春休みという事もあってか、小中高生がわんさかでした。彼らの目当てはほとんど『暗殺教室』ぽかったですけどな…。
今作も観賞したのは朝イチの回だったのにほぼ満席。笑いどころではちゃんと笑い声がするし、泣きどころではどこからか鼻すすりの音がするし、劇場内の一体感が感じられて嬉しかったです。
たまにはこういうのもいいね。
さて、映画の話。
映像はやはりピクサークオリティですから、安心して観られます。風景や自然物はもはや実写。もしかしたら実写以上にきれいかもしんない。
特に素晴らしかったのは大自然の美しさだけでなく、土砂崩れや雷、嵐の雲など、我々動物にはどうすることもできない自然の脅威をしっかりと表現していたところ。
特に重要となる川の濁流のシーンはかなり迫力があり、人によっては震災の津波を連想してしまうかもしれません…。ただ、この「自然の荒々しさ」は映画の性質上とても大事なところなので、避けては通れないと思いました。
物語に関しては、よくある、いわゆる子どもの成長物語です。もっと「恐竜であること」が重要な要素になるのかと思っていたのだけれど、ぶっちゃけ、アーロが恐竜である必要はあったのかな?とも思いました。それと同じ理由で、「少年」は別に人間じゃなくてもよかった。
『アーロと忠犬』でも問題ない、ていうかほぼそんな感じだった(笑)。
以下ネタバレしています!
短編の話もしています。
短編『ぼくのスーパーチーム』★★☆(2.4)
あらすじ
ぼくはテレビ番組のヒーロー「スーパーチーム」が大好き。でもその時間はちょうどお祈りの時間で…。
最初は、げっ宗教プロパガンダかよ!とちょっと身構えたのだけれど、よくよく考えてみれば父と子の和解の話だったと。うーん、でもやっぱり大人の都合のいいように子どもに宗教(でなくてもいいけど親が与えたいもの)を押し付けてる、とも感じられるかもな…。
でも、戦う神様は美しかったし、悪魔(?)もほどよく怖かったのでまぁよし。
親のカタキがともだちに?
驚いたのは、てっきりアーロが川に流されてからスポットと出会うんだと思っていたのだけれど、その前にすでに二人は知り合っていた、というところ。しかも、彼はアーロの父親の死の遠因にもなっている。
もちろん、アーロ父が死んだのは事故だし、誰のせいでもないんだけれど、でもでも、遺族としたらスポットを恨みたくなるんじゃないの?と(アーロも最初は怒りを露わにしている)。
なので、ちょっと助けてもらったり食べ物をもらったりした程度で気を許すものかなぁ?とも思ったり。
それにスポットがアーロを慕う理由もよくわからない。もしかしたら罠に引っかかった時に助けてもらったことも一因かもしれないけど、理由付けとしては弱い気がする。
原題は『THE GOOD DINOSOR』なので、それらも含めてアーロの心の優しさの表れとも言えるのかもしれないのだけれど(罠から逃がしてあげたのも、「怖くて殺せなかった」というより、「かわいそう」って気持ちの方が強かったのかも)。
スポットがほぼ犬だった件
①(ほぼ)四つ足歩行である
②鼻がきく
③舌を出して喜ぶ
④吠えて威嚇する
⑤噛みぐせがある
⑥名付けが適当
うーん、どう考えても犬にしか思えない…。
名前をつけてやる
名付けのシーンがわたしはかなり重要だと思いまして。
いきなり現れたスティラコサウルスから、「(少年の)名前を当てたらもらうぞ」と言われ、慌ててアーロは適当にいろいろ名前を呼びます。(その中には「厄病神」とか「わんぱく」とかもある)で、たまたま「スポット」に反応したわけで。
名前そのものには意味はないんです。「名前をつけること」に意味がある。それで、アーロはスポットに愛着を抱くようになったのだろうと思うのです。
あ、あれ、これってペット飼う時と一緒じゃ…。
けどねけどね、犬みたいだとか、なんだかんだいったけどね、スポットはちょう可愛かった!
上目づかいとか…
うるうるとか…
はっきり言って反則です。
特に中盤、スポットの両親が「死んでしまっていること」を伝えるシーンはかなりぐっときました。
会話はできないけれど、思いは伝わる。
あ、あれ、これってペットと一緒…以下ry
ただ、このうるうるシーンを予告で見せられちゃったのは残念だった。最後に二人はこうなるんだろうなーってわかっちゃうからね、感動が少し半減したと思います。
父親の子育て
アーロの父親は、アーロに早く一人前になって欲しい、怖さを克服して強くなって欲しいと思っています。自覚はないにせよ、他の兄弟と比べてしまっていたのかもしれない。
でも雨の中、川原で転んでうずくまっているアーロを見て、自分のやり方は間違っていたと気付くんですね。あぁ、この子にはこの子の成長速度があるんだ、って。
このね、親が子どもの様子を見て自分の過ちに思い至る、その時のなんとも言えない切なさ。
アーロの父親の「もういいんだ」は諦めではなく、謝罪の意味だったんだと思うんですよね。
この辺りの親心は、先日観たドラえもんのママにも通じるところかなーと思いましたね。
特に父親は、子どもの感情・情緒面を重視した子育てをすると言われているので(逆に母親は健康や衛生面を重視するらしい)、この時のアーロ父は本当に「失敗したな…」とへこんだんじゃないかなぁ。
ただ、わたしがアーロの親ならね、どう見てもアーロは足腰ひ弱そうだから、たくさん食べさせて、運動もさせて体を丈夫にすることをまず考えると思うんですよ。
そこを飛び越えて精神論に行くってのがなぁ…なんか違くね?とな思ったり思わなかったり(笑)。
恐竜量が足りない…
実は今回、恐竜大好きな甥っ子(小1)と、4歳の息子と観たのですが、甥っ子いわく「もっと恐竜が出てくるのかと思ったのに…」と少しがっかりした様子。
出てくる恐竜は、
①ブラキオサウルス(?らしきかみなり竜)数匹
②パラサウロロフス数匹(上記二つはシルエットのみ)
②アパトサウルス5匹
③スティラコサウルス1匹
④翼竜3、4匹
⑤ティラノサウルス3匹
⑥ラプトル類4匹
…とまぁ、数えてみれば決して少ないわけではないのだけれど、一遍に出てくるわけではないので、恐竜目当てでいくと少し物足りない気がしたのかも。
甥っ子によかったところを聞いてみると、「翼竜(イナズマドカン)にアライグマ(?)が食べられるところ!」と「ティラノとラプトルが戦うところ!」だそう。さすが生涯ベストワン映画を『ジュラシック・ワールド』と言うだけあり、ブレないな(笑)。
息子に聞いたら「ドラえもんの方が面白かった」とのこと。4歳児にはまだ成長物語は早かったようですな。
つっても二人とも「腐った果物を食べてアーロとスポットがラリるところ」や「モグラが穴からポコポコ出てくるところ」はゲラゲラ笑ってましたけどね!(このシーンは劇場内の全子どもが笑っていた印象。大人も笑ってたよ。)
さて、最後に日本版エンディングについて。
Kiroroの「ベストフレンド」はいい歌だと思います。でも、わたしは最後に流れた時、すごく違和感があって。
というのも、ラストシーンではアーロとスポットの関係はもう終わってるんですよ。解決しているというか。いやもしね、ラストでどこからかスポットの遠吠えが聞こえて、アーロがそれに答えて…みたいな流れだったら「ベストフレンド」、結構だと思うのです。
でも、ラストはアーロが「印」を付けて、家族に一人前として認められたってオチでしょ。これからはアーロの一人前としての生活がはじまるわけで…。だからちょっと印象としては違う気がしたんですよね。もっとアップテンポな、前向きな曲調の歌の方がよかったのでは?とわたしは思いました。
でも、隣に座っていた子連れのママさんは、帰り際「Kiroroの歌がよかった〜」と言っていたので、感じ方は人それぞれなんだろうな。
とまぁ、ストーリーはいろいろ思うところもありつつも、映像はめちゃくちゃきれいだし、少年はかわいいし、笑いどころも感動どころもあって、最後まで楽しんで観ることができました!小学生くらいのお子さんならお話の意味(友情とか成長とか…)も理解できると思うので、ある意味情操教育にもいいかもしれない⁈
来月23日にはディズニーの新作、『スートピア』が公開!またキッズと観に行こうかな♪