あらすじ
ごく普通の会社員、岩本アキオはオンラインゲーム「ファイナルファンタジーⅩⅣ」にハマっている。
ある日、アキオの父が家族に何の相談もなしに突然会社を辞めてしまう。昇進も間近だったというのに、母にさえ辞めた理由を語ろうとしない。アキオはこれまでの父との関係を振り返り、父の本音を知りたいと思うようになる。
ゲームのプレイヤーから「この世界ではみんな本音で話している」と聞かされたアキオは、父をゲームの世界に誘い、正体を隠して仲良くなり本音を聞き出す「光のお父さん計画」を思い付く。
ゲーム機とソフトをプレゼントし、うまくゲームの世界に父を誘導したアキオ。ゲーム内の仲間の助言もあり、父のアバター「インディ・ジョーンズ」とアキオのアバター「マイディー」は「フレンド」となり、交流を深めていく。
やがて二人は最強の敵「ツインタニア」に挑むことになった。しかし決戦当日、思わぬ出来事が父子を襲う…!
オンラインゲームというか、そもそもゲームじたいに疎い人間です。もちろんファイナルファンタジーも、一度もプレイしたことはありません。
そんなわたしが本作を観てどうだったかというと…
号泣しました。
いやまじで、ちょっと頭痛くなるくらい泣きました。めっちゃ鼻水出た。
王道で等身大の家族映画
いやー、何て言うのかな、ゲームと現実の攻略をリンクさせて、敵を倒す=人生の困難を乗り越えるとする展開も、それが結果親子の距離を近づけていくというのも、もうベタもベタで、ありがちっちゃーありがちなんだけど、今のわたしにはこれくらい王道な家族の物語がしみるんだわ…(後述)。
「いつ、どのような形で息子であると明かすのか?」という点もわたしの希望通りの演出でね…今思い出しても泣きそう(´;ω;`)
あと、「オンラインゲーム」の善の部分にフォーカスしている点もすごく良かったと思います。
今でもまだニュースとかで、ネットとかSNSとか、どうしても悪者にされがちじゃないですか。ゲームも最近、子どもに悪影響だから規制しよう、みたいな動きがあったりもして。
でもこの映画は、オンラインゲームは「現実ではできない経験ができるものなんだ、それによって救われる人がいるんだよ」というのを、心から信じている人が作った作品なんだな、というのが伝わってきました。
わたしは映画を含めてフィクションの、「物語」の力を信じている人間なので、その点はとても共感できました。こういう、作り手の信念がキラキラ輝いているような作品は、とても素敵だと思いますね。
ゲームパートの映像も楽しくて、ゲーム全然やらないわたしでもすんなり世界観に入り込めました(劇中でもゲーム初体験の女の子が「映画じゃーん!」て言ってたけど、まさにそれ)。
ゲーム映像の撮影もかなりこだわって撮られたらしいです。
映画『劇場版ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』公式サイト
元々はブログ発信の原作なんだそうな。累計1000万アクセスの人気ブログらしいのね、全然知らなかった…
ドラマ化もされてて、現在ネトフリさんで配信しているので観はじめたんだけど、映画はドラマをうまく再構築してるなーと逆に映画版の評価が上がりましたね。(大杉漣と千葉雄大の父子ンビもいい感じ(о´∀`о))
妹のキャラは原作にもドラマにもないんだけど、彼女がね、わたしも妹だから「あーわかるわかるー!」って感じの立ち位置でね。兄と父のスピーカー的な役割やらされて「てか、直接喋ってくれる!?」って今でもやるわ(笑)。なんなんあの息子と父親のああいうの。(妹が父に啖呵を切るシーンも、わたしも同じようなこと言ったことあるしね…苦笑)
ちなみに、ブログは今も更新中で「光のお父さん計画」も読むことができます。(以下のサイトの「カテゴリー」→「【FF14】光のお父さん計画」より)
掴み、エピソードの小出し具合など、書き方に関してはイチブロガーとして学ぶところも多いですな…(まねできませんけど)
実際の「お父さん」はかなりのゲーマーらしく、映画やドラマとはだいぶ印象が違うんだけど、ただやはり実在の人物がモデルってだけで親近感はわきますよね(ご本人の雰囲気は吉田鋼太郎に似てるらしい)。
映画公開時に掲載された実際のお二方のインタビューがありました。映画観たあと読んだらまた泣いちゃった…。この父子、最高だな(笑)。
「光のお父さん」は“60歳を超えるお父さん”に何を与えたのか──『FFXIV』で行われた親孝行の結末【息子&お父さんインタビュー】
以下はネタバレっていうか、ウザい自分語りのコーナーです。ほとんど映画と関係ないので読まなくていいです。
父親が嫌い
いきなり身も蓋もないことを書いちゃいますが、わたしは自分の父親が嫌いです。
もうね、性格が合わない。人間として尊敬できないし、もし他人なら絶っっっ対に関わりたくないタイプ。
女性蔑視的、人種差別的な言動を平気でするし、母に対してはもちろん、自分より下だと思った人間には横柄な態度を取るし、車の運転中は悪態つくし、典型的なモラハラおやじなんですよ。家のことなんて全部母任せ、そのくせ調子の良いときだけ父親ヅラするのが癪に触る…ってなんかいくらでも悪口出てくるな(笑)。
同居してたときは、とにかくもう話すのも嫌、顔を見るのも嫌、というくらいの時期もありましたね。半分同じ遺伝子を持ってるってのが信じられないくらい、ほんと気が合わない。
ただ、独立して家を出てからは会う頻度が減った分、客観的にも見られるようになって、そこまで腹も立たなくなりました。
特に子どもが生まれてからは本人も退職して丸くなったところもあって、孫とも率先して遊んでくれるし、いいおじいちゃんしてくれてるなー、とそこはほんと、感謝しています。
まぁ、性格は合わないからたまに実家帰っても「あーやっぱ、ムカつくわー!」ってイラつくこともしばしばなんだけど。
そんな父親がね、最近、かなり大がかりな手術を受けることになったんですよ。
手術じたい、もしかしたらうまくいかないかもしれない、というくらいの大きなもので、「念のため覚悟はしておいてください」と医者からは言われました。
父親のことなんて、ずっと嫌いだと思っていたし、自分よりも先に死ぬだろうということも、当然ながらわかっていることではあります。
それでも、いざそれを目の前に突きつけられたら、平常心ではいられなかったです。そんな自分にも、少なからず驚きました。
…こういうことをここで書くのはどうなのかなーとも思ったんですけどね、映画の絡みなんで書かせていただきますね。そもそもわたしのブログだし。
一応手術は成功しまして、まだ本調子ではないですが、だいぶ元気にはなりました。
そんなこともあって、映画の終盤の展開が見事にリンクしてしまって。そういう話だってことも知らなかったもんだから、なんかもう、ぼろぼろ泣けてしまったんですよね。
だから岩本親子がゲームで関係を修復して、病に打ち勝つという展開はわたしにとって、救い以外の何ものでもなかったです。
そうそう、「インディ・ジョーンズ」は父も母も大好きなシリーズなんですよ(一番好きなのは「最後の聖戦」ショーン・コネリーが絶妙なかわいさ笑)。だから「お父さん」のアバターの名前が「インディ・ジョーンズ」なのもなんか、ぐっときちゃった。
共通の趣味
わたしが今こうして映画が好きなのは、父親の影響がかなり大きいんですね。
父も映画好きで、子どもの頃はよくレンタルビデオ屋さんに行って好きなのを一本選ばせてもらってました。週末は家族でテレビの洋画劇場を観るのが通例だったのも、父が映画好きだったからです。お正月には兄と父とわたしと、映画を観に行くのがいつからか習慣になっていました。
長男と3人で映画を観に行ったこともあります。
わたしは結局、父の子なんですよね。
それを最近、痛感します。
嫌なところは似たくないと思ってますけど、言いまわしとか仕草とか、「今の父親っぽかったかも」と思うことがあります。
でも今は、それも昔ほど嫌じゃないです。
映画の最後に、アキオの出張で物理的に距離が離れても、「一緒に遊ぼう」と言ってオンラインゲーム上で二人は遊んでましたね。(離れていても会える。これもオンラインの良いところですね)
親子で共通の趣味があるのってやっぱりいいなと思ったんですよ。
今月には退院できるので、わたしも声をかけてみようと思います。
「お父さん、一緒に映画観よう」って。
作品情報
- 監督 野口照夫、山本清史(ゲームパート)
- 原作 マイディー、スクウェア・エニックス
- 脚本 吹原幸太
- 製作総指揮 久保忠佳
- 音楽 森英治
- 製作年 2019年
- 製作国・地域 日本
- 出演 坂口健太郎、吉田鋼太郎、佐久間由衣、山本舞香、佐藤隆太