あらすじ
出木杉から小説「宝島」の話を聞いたのび太。「僕たちも宝島を探しに行こうよ!」と息巻くも、皆から「今の時代そんなものあるはずない」と一蹴されてしまう。諦めきれないのび太はドラえもんに頼み、"宝探し地図"を使って本当の宝島を探し当てる。そこはちょうど、新しい島が誕生したとニュースが伝えている島と同じ場所だった。
「そこに宝物があるんだ!」"組み立て帆船"でしずか、ジャイアン、スネ夫のいつもの仲間と共に、その島へ向かうのび太とドラえもんだったが…。
はい!今年もドラえもん映画を観てきました。もう家族の恒例行事になりつつあります。恵方巻きとかゆず湯みたいな感覚です。
過去のドラえもん映画のわたしの感想はこちら
星野源の主題歌に乗せて、ドラえもんたちがわしゃわしゃ動くワクワク感満載な今作の予告編が大好きでね。これまで山崎まさよし、平井堅としっとりバラード系が続いてましたので、今回のアップテンポな主題歌は新鮮です。これはさー、ズルいよね。だってタイトルが「ドラえもん」だもん。星野源、ズルいよ〜
悪くないけど、良くない
そんなわけでね、ワクワク楽しみにしておったわけです。…ですが。3/9の本放送でその主題歌のフルバージョンに合わせた特別映像が流れたんですね。それを観ていて、なんとなーく泣き要素を入れてきてるな…しかも家族愛的なのをゴリゴリ推してきてる気がするな…これが川村元気臭…と、一抹の不安がよぎりまして。
で、つい先日、テレビの宣伝でついに出してきたんですよ、あのフレーズを。
「ドラ泣き」
うわーー出たーーー!「泣き」推してきたーーー!
期待ゲージがみるみる下がり、不安ゲージがぬぬぬと上昇。いやいやしかし、観ないことには始まらないぞ、観るからには楽しまないと、と家族そろって鑑賞となりました。
う〜ん、惜しい!
(セリフは)悪くない。でも、(設定が)全然、良くない。
好きなところはいくつかあって、序盤ののび太の「宝島」の妄想(「パラレル西遊記」なんかの、主人公になりきっちゃうよくあるアレ)とか、''海上トランポリンスプレー"を使って海で遊んだり、クジラやサメライダーに乗ってはしゃぐ航海シーンとかは本当に楽しくて、「これぞドラえもん!」と気分が盛り上がりました。
スネ夫やジャイアンたちの特徴を生かした見せ場がちゃんとあったのも良かったし(胸熱サムズアップ!)、今回ののび太の原動力が"善意の押し売り"ではなく、"しずかちゃん"なのも好印象でした(しかし後半は押し売り気味に…苦笑)。
悪役シルバーとフロックの関係性も、親としては考えさせられるものがあったし、それこそ「ドラ泣き」までは行かないまでも、胸に迫るものがありました。
ですが、そもそも肝心の"宝島"の設定がかなり盛り盛りな上にガバガバなんですよ。その粗が最後までノイズになってしまって、そこまで入り込めなかったな〜というのが正直なところ。いや、「ドラえもん」なんだからさ、別に粗や矛盾があってもいいんです。でも、その「粗」がやたら多すぎ&都合良すぎと感じてしまったのは致命的でした。いろいろ、強引過ぎたんだよなぁ…。
これなら大人しく「南海大冒険」をリメイクをしておいた方がよかったのではないかと…
でも、隣で見ていた夫氏は涙目で「星5点!」と言ってたのでね、今回はパパとのび太の関係が焦点になってもいるので、パパさん方にはグッとくるかもしれないなぁと思いました。
もう一つ欲を言うと、航海シーンが本当に楽しかったんで、できれば主題歌「ドラえもん」をそこで流して欲しかったかなぁ。エンドロールは普通の黒に白字で、せっかくこんなに楽しい曲なのに地味すぎない?わざわざ「夢をかなえてドラえもん」を封印して星野源を推したのに、もったいなくない?
以下ネタバレだよ〜
不満点あれこれ
「パパのバカ」?
序盤で宝島を探そうとするのび太が、パパにママと一緒になって「宿題をしないと…」って言われてキレるんですが、いきなりのび太が「パパならわかってくれるよね?」って言い出すのは「え、なんで?」って思った。
いや、パパが宝島とか冒険とかああいう少年のロマンみたいなのが好きなのは、普段ドラえもん見てればわかるんだけどさ、本作だけで考えるとやはり流れ的に不自然に感じました。あの場面の前にパパが「僕も宝島の小説に夢中になったことがあってね…」って語っていたのなら「それより宿題だ」って言われて「裏切られた!→パパのバカ!」ってのび太の気持ちを理解しやすいと思うんですけど、あれじゃあのび太がわがままにしか見えないよ。
ラストにパパの話を持ってきたのは順序逆じゃない?って思いました。
クイズがめんどくさい
鳥ロボットのクイズ。言いたいことをなんでもなぞなぞにするってキャラクターなんだけどさ…。本当にいちいち全部なぞなぞで、正直ウザいです(苦笑)。こいつが話す度に物語が止まっちゃうし、最後の方は「パパの好きな場所は?」とか言い出して、なんかもう、「あ〜ハイハイʅ(◞‿◟)ʃ」みたいな。ドラえもんと同じ子守ロボットということなので、その辺りの掘り下げがもう少しあってもよかったかなあ。
まぁ、子どもは「クイズのなぞなぞのシーンが一番面白かった!」って言ってたんで、子ウケはかなり良かったんでしょうけどね。
強引で無理がある"宝島"の設定
んで、 一番の問題点は前述しました、本作のキモである"宝島"の設定です。
実は、宝島だと思っていたのは島に見せかけた海賊船で(ファ?)、また、時を超え海底に沈んだ金銀財宝を奪う時空海賊を乗せたタイムマシンでもあって(エェ?)、しかも、地球の熱エネルギーを吸い取って他の星へ飛ぶ宇宙船でもある(オォーイッ?)って言う盛り盛りの盛り設定なんですよ。いやいや、もう宝島じゃないじゃん、って言う(苦笑)。
シルバーが未来へ行って、地球の滅亡を目の当たりにする→こりゃもう他の星に移住するしかないわ!ってなるのはまぁわかるとして、その乗組員として、なぜ素行不良っぽい海賊たちを選んだの?''ノアの方舟"なんだから普通に考えれば、そこは人類代表選抜メンバーにしない?乗組員たちが方舟計画を知らないっていうのもどうかと思うよね…。
あと、気になったのは「地球のエネルギー」の説明がかなりフワっとしていたところ。マグマ噴き出す海溝から熱エネルギーを吸い取って云々かんぬんするんだけど、そのエネルギーの概念がイマイチピンとこない。見た目はピンクの元気玉みたいなんだけど、ドラえもんは中に入っちゃうし、吸い取り切っても地球に異変が起きた様子もないし、宇宙船から切り離されたら海中に落ちてキラーン☆みたいになって消えてくし、え?そんなんでいいの?地球エネルギー戻ったの?え、これで解決なの?っていうね…。
あと、シルバーたちが「ありがとー」って帰って行くのもモヤるというか、お前ら時空海賊やろ、TP(タイムパトロール)案件やろ、つーか金銀財宝戻して帰れや!てか、結果的に地球の滅亡は解決してないわけだし、お前たち、何しに来たの?
…こんな気持ちになっちゃったのは、わたしの心が狭いから?
好きだったところあれこれ
「大人は絶対に間違えないの?子どもが信じていることは全部間違ってるの?」
「子どものため」と自身の信念を押し通すシルバーにのび太が放ったセリフ。身につまされるものがありました。大人は、間違えてばっかりだよ!しかもそのツケを子どもに払わせてばっかりだよ!ほんとごめん!
父を超えろ!プログラミング対決
フロックが地球エネルギーを取り込んだエンジンを切り離すため、シルバーの作ったプログラムにアクセスしようとするんですが、それが、色分け陣取り合戦みたいな絵面にしたのは正解でしたね。プログラミングという絵的に地味になりがちな対決を、チェスや囲碁のように視覚的に捉えることができて面白かった。最後、フロックの領域が増えていって、子が父を超えるというのもわかりやすい。
なりきりキャプテンハット
会社に被って行ったら、ムカつく上司がタコ坊主になったり、「船長の命令は絶対!」って言って理不尽なクレーマーを黙らせたりできるのかなぁ…。あ、船の上じゃないと効果ないのか(・・;)
ミニドラ
かわいい。
大泉洋
金曜どうでしょう。
…と、いろいろうだうだ書いちゃいましたけど、我が家の5歳児は今日もずっとパンフ読んだり、入場者プレゼントで嬉しそうに遊んだりしているから、いいんだ。大人の意見なんて無視してよ。子どもが楽しかったなら、わたしは十分満足っす。
以上です!!
作品情報
- 監督 今井一暁
- 原作 藤子・F・不二雄
- 脚本 川村元気
- 音楽 服部隆之
- 製作年 2018年
- 製作国・地域 日本
- 声の出演 水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昇、関智一
- 大ヒット航海中!『映画ドラえもん のび太の宝島』公式サイト