あらすじ
1939年、日本統治下の朝鮮半島。犯罪者一味に育てられたスッキは、富豪の上月家の令嬢秀子の侍女となる。騙して詐欺師と結婚させ、秀子の財産を奪い取る算段だ。しかし次第に、スッキは美しい秀子を愛するようになり…。
韓国3大変態監督の1人、パク・チャヌクがやってくれました(あとの2人はキム・ギドクとイム・サンスね。異論は認めます)。
いやー、大変にケシカラン映画でしたね。溢れ出る背徳感とフェティシズム。美意識に富んだエロチシズム。地下室のアート感と言ったら!タコですよ、あーた、タコですよ!!朗読部屋の造形も素晴らしかった。
わたしは基本的に似非ジャポネスクが好物でもありますので、こういうの、大好き。朗読会で見せるお嬢様のコスプレ(?)にもドキドキしっぱなしでした。赤い長襦袢で傀儡と一緒に吊り上げげられるシーンとか、意味わかんなくてもう最高でしょ。
日本語字幕を入れてくれ!!
それから、登場人物たちが「日本人のフリをしている(または過去に日本に住んでいた)」って設定なので、みんな日本語を喋るんだけど、そのカタコトっぷりが、たまらん(笑)。タ行とサ行〜!!しかも結構長く話すから聞き取るの集中力いる〜!!日本語会話にも字幕入れて〜!!
「ヒィデタウチュクシシャデゴジャイマシュ!」にわたしの中の何かが昇天しかけました。もう、たまらん。
しかもそんな口調でお嬢様が、淫語卑猥語連発するんでね、どんだけ笑わせるん!もう、やられました。
監督はおそらく、主人公の二人を美しく撮るために、相当心を砕いたでのしょうね。衣装や照明に小道具、アングルやカット割りなども入念に計算されている様子。だからこそ、二人の絡みはエロというよりエロス、いやらしいというより麗しいと感じられる。二人が一糸まとわぬ姿で向き合うラストシーンで、思わず合掌したくなったのはわたしだけではないでしょう…。秀でた美しさでございます!!!
あと、スッキを演じたキム・テリさん。もっさい芋ねーちゃんの侍女スタイルから、ドレスアップした時のハッとするような美しさには目を見張りました。プロモーションの時の写真とか見ると、めっちゃ美形なんだよね。オーディションでスッキ役を射止めた新人さんらしいんだけど、これまで演技経験ナシってまじか。
他の役者さんで言うと、チョ・ジヌン演じた舌の黒い変態オヤジ上月叔父様も凄まじいインパクトがあり申した。終盤の藤原伯爵とのやりとりにはもう笑かしてもらいました。
本質はフェミ映画?
大胆な濡れ場もあり、女性の性を「モノ」として扱う描写もありますが、本質的には女性の自由を応援するフェミニズム映画です。女性二人の性愛描写が男性的目線で消費されることも想定内で、「女性という生き物」の奔放さ、力強さを高らかに謳う、女性讃歌映画だと思います。
「イエ」からの解放、男性社会からの解放、「女であれ」という抑圧からの解放。鳴り響く鈴の音が愛の証であると共に、自由を勝ち得た二人のウェディングベルでもあるのでしょう。
さて、女であるわたしはこのように感じましたが、男性はどうなのだろう?と、いくつか本作における男性の方の批評を読ませていただきました。「百合グヘヘ」でご覧になったのかと思いきや、皆さん一様に藤原伯爵の最期に感動されていて、深く頷かざるを得ませんでした。男の矜持はかくあるべし。
原作はイギリスの女性作家による小説だそうな。
その小説をもとに、サリー・ホーキンス×エレイン・キャシディでBBCがドラマ化しているそう。うわぁ、超観たい!
作品情報
- 監督 パク・チャヌク
- 原作 サラ・ウォーターズ『荊の城』
- 脚本 パク・チャヌク、チョン・ソギョン
- 音楽 チョ・ヨンウク
- 製作年 2016年
- 製作国・地域 韓国
- 原題 THE HANDMAIDEN
- 出演 キム・ミニ、キム・テリ、ハ・ジョンウ、チョ・ジヌン