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ハロルドが笑うその日まで【映画・ネタバレ感想】スウェーデンとノルウェーのスタンスがわかって面白い★★★(3.0)

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ハロルドが笑う その日まで [DVD]

あらすじ

ノルウェーのオサネで長年質にこだわった家具店を営んできたハロルド。しかし、隣に世界的家具チェーン「IKEA」の北欧最大店舗ができたことで、廃業に追い込まれてしまう。認知症を患っていた妻も喪い、全てをIKEAに奪われたと感じるハロルドは、創業者カンプラードを誘拐し、復讐を果たそうと決意。オンボロなサーブ車でスウェーデンへと向かうハロルドだったが…。

 

 

「小さな家具店主(おじいちゃん)がイケア創業者(おじいちゃん)を誘拐!」って言うだけでなんだかほのぼのとしていて面白そうじゃないですか。

で、観てみたら、これが意外と社会派(?)でね、興味深く観賞しました。というのも、ノルウェーにおけるスウェーデンへのスタンスがよくわかって、なるほどなぁ、と思ったのです。

 

 

人生いろいろ、北欧もいろいろ 

日本にいると、ぶっちゃけあまりに遠すぎて北欧の国々の違いって、あんまりわからなくないですか?

フィンランドはムーミンとカウリスマキ?スウェーデンはボルボとイケア?ノルウェーはサーモンと森?アイスランドはビョークと地熱発電?デンマークは…えーと、なんだ?…みたいな。

それから、各国の立ち位置というか、各国に対する国民感情みたいなものって、ほとんどの日本人は知らないんじゃないかと思います。

 

スウェーデンって、実は意外と他の北欧の国々からはよく思われていないんですよ(表面上はうまくやってるけどね)。侵略などの歴史的背景、国民性や言語の違いなどなどにより、よその地域の国々と変わらないやり取りが北欧諸国でも繰り広げられているんですよね。

気になる方はGoogle先生で「ノルウェー  スウェーデン  仲悪い」で検索!!

特にアイスホッケーの対スウェーデン戦では白熱する国が多いのだとか…。どこぞの国でもそんなこと、ありますよねー。

 

さてはて、今作は「ノルウェーから見たスウェーデン」をIKEAいう緩衝材をうまく噛ませて揶揄しているところがあります。

おそらくIKEAはスウェーデンの超大手企業ですから、スウェーデン国内ではここまでネタにはできないだろうと思います。お隣のノルウェーだから実名出して皮肉ったりできるんでしょうね。そしてそれをおおらかに受け入れるスウェーデン側。なんだかんだで、結構仲良しなのかも?

 

また、この映画は反目する二人のおじいちゃんがイチャイチャ交流する映画としても楽しめます。

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(C) 2014 MER FILM AS ALL rights reserved

こんなのとか、

 

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『ハロルドが笑う その日まで』予告編 - YouTubeより

こんなサービスシーン(笑)まであり!!

 

「誘拐」なんてきな臭さは添え物で、北欧の凍った湖や雪深い森などの美しくも悲しげな景色、おじいちゃんを堪能する映画だと思います。それらに興味のある方は是非〜。

 

 

こちらもノルウェー×スウェーデンのもやもやを描いた良作。こんなゆるーい感じが好きな人はきっと気にいるかと〜。

 

 

 

 

以下ネタバレあり!

 

 

 

 

 

 

 

 

IKEAって、嫌われてるの?

我が家にもIKEAの家具がたくさんあります。机、本棚、子供用クローゼットやおもちゃ、椅子にファブリック諸々。以前は車でよく出かけてましたね。何も買わなくても、フードコートでご飯食べるだけでも楽しいし。

劇中で創業者役の人に「すぐに壊れる」なんて言わせてましたけど、まぁ確かにO塚家具などの一流品よりは安いし粗悪なのかもしれないですね。でも、日本ではどちらかというと値段の割にはしっかりしていてオシャレで素敵といったイメージだったので、今作での描かれ方は新鮮でしたね。

大手スーパーを小さな商店が憎々しく思っているのと同じで、個人家具店の人たちだってIKEAやニ◯リを苦々しく思っていても不思議ではないんだよなぁ…。

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『ハロルドが笑う その日まで』予告編 - YouTubeより テレビに映る創業者に思わず悪態を吐くハロルドの奥さん。「スウェーデン」企業というだけで、なんとなく反感を持っているという感もあり…。

また、IKEAと同様「粗悪で壊れやすい」とハロルドに言われるのがSAAB社の車。あまり日本では見かけないですが、ボルボに次ぐスウェーデンの有名な車メーカーです(2012年に破産申請がされるなど、なかなか厳しい状況らしいのですが…世界中に根強いファンがいるよう)。

スウェーデンはIKEAやこのSAAB、ボルボやH&Mなどの国際的な大企業を生み出しているけれど、そもそもノルウェー人にはそれ自体か面白くないんだね、多分。「お高くとまりやがって!どうせこっちのこと田舎扱いしてるんだろ!」みたいな(笑)。ハロルドの言動やエヴァとのやり取りの中からそんなノルウェー側の被害者意識(?)が見え隠れしていたように感じました。

 

 

何するかわからないからおじいちゃんって面白いよね(笑)。

隣にIKEAができてしまったことで廃業に追い込まれ、住む家も失ってしまったハロルド。しかも、老人ホーム入居当日に妻まで還らぬ人となってしまう…。

自暴自棄になり自分の家具店に火をつけ焼身自殺を図るも、スプリンクラーが作動して助かっちゃうハロルド。しかし、心の中ではメラメラとIKEAへの復讐心がバーニング!離れて暮らす息子(アル中気味) に「IKEAに復讐してやる!」と言っても、笑われるだけ。

 

誰からも相手にされないかと思いきや、なぜか道すがら出会った少女エヴァに気に入られ、誘拐の手助けをしてもらうことに。

偶然に偶然が重なり、本当にIKEA創業者を誘拐できてしまったハロルド!えっ逆にどうしよう⁇しかもコイツ、誘拐されてんのに強気だし〜!

 

けれど、創業者の抱える問題(ナチ疑惑、後継者である息子との軋轢…etc)を知るにつれ、距離が縮まるハロルドとカンプラードのおじいちゃん二人。

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『ハロルドが笑う その日まで』予告編 - YouTubeより このシーン、すごく好き。

 

結局エヴァはネグレクト気味の母親と折り合いをつけて家に帰り、ハロルドはカンプラードを解放して自身は息子のアパートへ。なんとなくまるく収まったムードで映画は終わってました。

 

 

老後の余生をどう過ごす?

この映画、実際のところ老人の居場所探しの物語だったんだろうと思うんですよ。職を失い、配偶者に先立たれ、頼みの子供はあてにならない。社会を恨んでも結局何も変わらないから、今の自分の身の丈で生きていこう…っていう。

老老介護なんかもかなりサラっと描いてますけど、福祉先進国の北欧でも、この辺りはきっと大きな社会的問題なんだろうなぁと思います。

老いは誰の身にも降りかかることです。それをどんな心持ちで向き合い、受け入れるか…。そんなふうに思うと、派手ではないけどじんわりとしみるいい映画だったのかなぁと思いましたよ〜。

 

 

 

 

作品情報
  • 監督 グンナル・ヴィケネ
  • 脚本 グンナル・ヴィケネ
  • 音楽 ヤノーヴ・オッテセン
  • 製作年 2014年
  • 製作国・地域 ノルウェー
  • 原題 HER ER HAROLD/HERE IS HAROLD
  • 出演 ビヨーン・スンクェスト、ビヨーン・グラナート、ファンニ・ケッテル