あらすじ
ジャングルの奥地でオオカミの群れと共に生きる人間の子モーグリ。黒ヒョウのバギーラやオオカミの子どもたちと幸せに暮らしていた。しかし、人間を憎んでいるトラのシア・カーンがジャングルへ戻ってきたことにより、モーグリの身に危険が迫り…。
夏だ!映画だ!動物だ!
…というわけで、夏休みボケしつつある甥っ子と息子を連れて観てきましたよ〜。原作未読、アニメ版も未観賞(子どもの頃見たかもしれないけどすっかり忘れた)でございます。
予告編を観た時からずっと楽しみにしていました。スケール感がすごいし迫力もあって、いかにも「金かけてます!大作です!」って感じじゃないですか(笑)。
きっとアマゾンとかアフリカとかでロケしたりしたんだろうなぁー、やっぱ天下のディズニーは予算の規模が違うよねぇーなんて感心していたらですね、なんと男の子以外全部CGだってゆーじゃないですか奥さん!!にわかには信じ難いですよね。
最先端技術でスタジオがジャングルに変わる「ジャングル・ブック」メイキング映像公開 : 映画ニュース - 映画.com
バッファローの背中に乗っているシーン。種明かしされちゃうと滑稽ですな…(笑)。
いやーもう、なんでもできる時代になったもんだすな。そのうち俳優もCGで作られる日が来ますよ。映画作るのにもう有機物は何一つ要らない、なんてことになるかも知れんですね(驚きすぎて言葉づかいが変)。
ただ、映画を実際観てみると、確かにスタジオ感というか、「箱庭感」があるんですよね。奥行きに乏しいというか、全体的に綺麗すぎて作り物っぽさは否めない。
この光の具合なんかも自然では撮影できないと思うのです。
川、っていうよりはなんとなくプール感があるよね。
種明かし。
でもそれが今作の場合は決して短所ではなく、その箱庭感が絶妙なフィクショナリズムを産み出していて、ハラハラするシーンでもどこか安心感があるんですよね。大人は少し物足りないかも知れませんが、子どもにはこのくらいのエセ生々しさでちょうど良いと思います。
そして、映像の凄さももちろんなのですが、ストーリーでもしっかりと見せてくれます。ジャングルは様々な動物が暮らす、言わば多民族国家のようなもの。今作は、見た目も思考も異質な存在が、異物を排除しようとする強権的な脅威に立ち向かい、「自分の居場所を勝ち取る」物語なのです。マイノリティへの視野狭窄的な圧力を感じることの多い昨今、人間世界の現実と照らし合わせて見ると、いろいろと考えさせられることも多いです。あの「ズートピア」といい、最近のディズニーは志しの高さを見せつけてくれますな。
多様性を認めること、違いを受け入れること。それが理想郷への第一歩なのかもしれません。
なーんて言ったものの、難しいことは考えずに、とにかく子どもはたくさん出てくる動物にキャッキャできるし(象のシーンではどこからともなく「ぞうさんだあ!」と歓声があがり微笑ましかったです) 、大人は主人公モーグリの頑張る姿に思わず涙。誰が観てもワクワクドキドキ、そして感動できる映画だと思います!
以下ネタバレしつつ、誰からも聞かれてないけど、わたしが感動したシーンと好きなキャラを発表します!
感動したシーン
トラのシア・カーンから目を付けられたモーグリは、オオカミの仲間を守る為、群れを去ることにします。母代わりだったラクシャとの別れの時の額コツンシーンもジーンと来ます。
額コツン。雨の中というのもまた象徴的です。けれどこの重要なシーンは予告編やポスターで散々やられているのでそこまで気持ちは昂らず…(苦笑)。
とにかく主人公のモーグリが超かわいくてね、もうほどんどのシーンでおばちゃんはうるうるしちゃってました。中でも特に感動したシーンを三つ挙げます!
3位 立ち向かう動物たちの「ジャングルの掟」朗誦
オオカミの長がシア・カーンに殺されたことを知ったモーグリは、復讐心を抑えられず、思わず松明を手にジャングルへ戻ってしまいます。けれどもシア・カーンから挑発され、かつ火を見て萎縮する動物たちの様子からその方法が正しくないと気づいたモーグリは松明を池に投げ捨ててしまいます。
ほくそ笑みながら丸腰のモーグリを見据えるシア・カーン…。でも、もうモーグリは彼を恐れたりはしない。「ここが僕の居場所だ、もうお前なんか怖くないぞ!」
そして動物たちも、燃え盛る森を背に「ジャングルの掟」ー「one for all, all for one」の精神を諳んじ、モーグリのためにシア・カーンに挑むのです!!
特にのん気でお気楽だったバルーが立ち上がる瞬間はぐっときます。
2位 バルーとモーグリの関係
さて、そんなバルーは今作最大のモフモフ要員です。そして見せ場をこれでもかと用意してくれています。ハチミツを食べる様子はリアルプーさんだし(笑)、モーグリをお腹にのせて歌いながら泳ぐシーンも愛らしい。決死の崖登りはシリアスな場面なのに思わず吹き出しちゃいます。
おそらく、のん気でお気楽、しかも「ジャングルの掟」に否定的なバルーを、他の動物たちは受け入れて来なかったのでしょう。けれどもモーグリが現れて、はじめて「自分らしさ」を受け入れてもらえたのだろうと思います。そしてそれは「オオカミらしさ」を強いられてきたモーグリも同じ。そんな二人は友情以上の関係を築き上げるのです。
けれど、人間のモーグリを守れるのは人間だけ、とバギーラに諭されたバルーはモーグリを「君なんか友達じゃない」と突き放すのでした…。そのセリフを言った後の悲しげな顔もたまりません(クマなのに笑)。そーよ、こういうベタな展開が、わたしは好きなのよ!!
1位 モーグリの子ゾウ救出劇
子ゾウって、だいたいぬかるみにはまるよね…。
バギーラから禁止された道具を使い、子ゾウを助け出すモーグリ。そしてその様子をバギーラは感慨深く見つめていた…。それはモーグリに「オオカミらしくあること」を押し付けてきたバギーラが、はじめてモーグリの「人間らしさ」を認めた瞬間でした。
そして、モーグリ自身は自分のしたことを特別なこととは思っていない。ゾウが大変だ!→助けなきゃ!と即行動する彼が、いかに素直で純粋ないい子なのかがわかります。救出後に朝日が昇るのもよかった!
あと、感動とは少し違いますが、いつものディズニーロゴが旧版になっていて(おそらくオリジナル版へのオマージュ)、カメラがそのまま後退→ジャングルに分け入っていく→「ジャングル・ブック」(タイトル表示)という流れが、まるでディズニーランドのアトラクションに乗り込んだかのようで、はじまる前からワクワク!しっかりと夢の国への誘いも押さえています。
パイレーツオブカリビアンでも似たような演出がありましたよね。
好きなキャラクター
3位 モーグリ
注:このシーンではこんなこと言ってません。
前述の通り、素直で純粋、汚れや悪を知らない絵に描いたようないい子です。しかもかわいい!!こんなかわいい子が、一難去ってまた一難、度重なる困難にぶち当たる様におばちゃんは何度も「もうやめてあげてー!」と叫びそうになりましたよ。
また、走り回る、木から木へ飛び移るなど、その動きのしなやかさと軽やかさは、演じたニール・セディの天性の身体能力によるものでしょう。ブルーバックでの撮影というのは大人でさえ感覚をつかむのは難しかろうと想像できるのですが、まだ若干12歳であの堂々たる演技。とはいえこの年齢だからこその最大の武器「想像力」が、彼をモーグリたらしめたことは確かだろうと思いますが。今後の活躍も楽しみですね。
2位 バルー
何このモフモフ感!この毛並は映画史に残すべきレベル。とりあえず、抱きしめたい。
自由気まま、歌とハチミツが大好き。「ジャングルの掟」を”押し付け”と一蹴し、モーグリに道具を使うことを推奨します(実際のところはハチミツがたくさん欲しかっただけなんだけどね)。モーグリの「人間らしさ」を否定せずに「すごいこと」だと認めてくれたはじめての動物でした。
吹替版の声は西田敏行。発表された時は「顔で選んだな…」なんて思っていたのですが(笑)、これが意外とハマってましてね。高めの声色をうまく使いながらのんびり屋で気まま、でも心優しく力持ちなバルーを見事に演じていました。さすがベテラン役者。でもよくよく考えたらアフレコ現場に西田敏行と松本幸四郎がいたってこと?(別録りかもしれませんが)…想像するとなんかすごい絵面だな。
ちなみに字幕版での声は我らがビル・マーレイですよ!
1位 グレイ
何この犬感。超かわいい。オオカミ族の甘えん坊な末っ子。モーグリにまとわりつく様は最高に胸キュン。飼いたい!!
もちろん、ザ・悪役然としたシア・カーンもかっこよかったし(片目だしね!)、冷静で頭カタメでも、最後には「人間のやり方でやれ」とデレる(?)バギーラも、二人ともイケメン過ぎて素敵だった(変な感想…笑)!
そんなわけで、大作映画らしく見所満載、見せ場も豊富でしかも上映時間は106分とコンパクト。夏休みの最終週、「特に予定がないなー」なんて親御さんには子連れ映画として超おすすめです!