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スター・ウォーズ/フォースの覚醒ーー伝説でも、神話でもない、今の時代の「スター・ウォーズ」。★★★★☆(4.8)

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スター・ウォーズ/フォースの覚醒 (吹替版)

 

あらすじ

ひとりぼっちの少女、レイ(デイジー・リドリー)。謎のドロイド、BB-8との出会いが彼女の運命を変える!(予告編CMから)

 

 
 
以下核心含め、大いにネタバレします。
未鑑賞の方はお読みにならないようお気をつけください!
 
【本文前のチューイ点】
わたしはSWに対しては「子どもの頃旧三部作に親しんだ」程度の思い入れです。熱心なSWファンではないので、思い違いや勘違いが多々あるかもしれません。
本文中に「わかってねーな(ケッ)」と思われる点が見受けられましても、のび太を見守るドラえもんのようなあたたか〜い目でお読みいただけますと幸いです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
いやー面白かった!
とにかく、すごく面白かったです。
 
何が感動したってさ、やはり、あのオープニングのジャジャーン!と遠ざかって行く「STAR WARS」を自分の子どもと劇場で観られたって言うのがね、何よりも嬉しかった。それだけでもう胸がいっぱい。何はともあれ、作ってくれてありがとう!
 
 
わたしは以前の記事でも書きましたが、
今作に関しては極力、情報を入れないよう細心の注意を払っておりまして。物語に関してはほぼ何も知らない状態で観賞しました。
なので、冒頭の「ルーク・スカイウォーカーが消えた」から、そういう話なのか‼︎とびっくり。
 
そしててっきりレイちゃんはハン・ソロの娘だと勘違い。外伝の小説で確かレイアとの間に双子の兄妹がいたはず…でもその設定を引き継いではいないみたい?
物語は完結していないのでまだ様々な可能性が残されているのですが、レイがスカイウォーカー家の血を引いている、って言うのはナシでお願いしたい。それはさすがにつまらなすぎる…。
 
 
 

大満足!でも酷評にも納得…

公開初日に世界の熱狂振りを伝えるニュースがテレビでやっていて、どこかの国の少年が「オチはイケてなかった」と言っていて、ガキが知ったような口聞いてるぞーとか思ったんだけど、確かにね、ラストはイケてなかった。少年、君は正しかった(笑)。
いや、最後にルークを見せたかったのはわかるし、レイとのツーショットで終わりたかったのもわかる。でもあの空撮はダサい。あれはない。
 
まあそんなこともあり、古参のSWファンからは酷評されるのもわかる気がします。
今作は良くも悪くも「J・J・エイブラムスのスター・ウォーズ」なんですね。お得意の光演出、大事なシーンが大体暗い(終盤のライトセーバー戦は逆に暗くてよかったと思ったけど)、オマージュと言う名のパクり(笑)。なんかいろいろモヤモヤする、あの感じ…。
 
とはいえ、わたしは十分に楽しめました。大量のストームトルーパー大集合には興奮したし、敵味方入り乱れる空中戦、序盤のミレニアム・ファルコンとタイ・ファイターのチェイスは相当に見応えがありました。臨場感半端なかった。思わず前のめりになっちゃったよ。力み過ぎて若干疲れたよ(笑)。2Dでこれなんだから3Dや4DXなんかで観たら大変なことになりそう。
 
 
 

愛着のわくキャラクターたち

そして何より魅力的だったのは、新キャラたち。一番はもちろん!

 

スター・ウォーズ キャラバンク The Force Awakens Ver. BB-8

 

BB-8!!
なにこのまるっこいの、ちょうかわいい。
しかも首が動くの。落ち込むと首がぎゅーんて下がる。ころころ回って移動する。ライター(?)を使ったサムズアップに実際キュン死にした人が続出(誇張あり)。
R2とのツーショットは最強です。
監督のインタビューによると、昏睡していたR2はBB-8が「覚醒」させたんだとのこと。
「BB-8がR2のところに来て、何か言うんだよね。あれは “僕、地図のカケラを持ってるよ。残りの部分、持ってる?”というような事を聞いてるんだ。R2は銀河中を旅してきて、今は昏睡状態にある。それでもBB-8の言葉は聞こえているんじゃないかってね。結果としてこれがきっかけでR2-D2は目覚める事になったんだ。」
ふーん…。
 
 
そして意外なことに、わたしが特に気に入ったキャラは、観賞前は全く魅力を感じていなかった、ジョン・ボヤーガ(ボイエガ)演じる脱走ストームトルーパー、フィン。

 

スター・ウォーズ ブラックシリーズ 6インチフィギュア フィン

フィギュア。見た目はほぼジャイアン。
真面目で一生懸命。とにかく頑張る。強く無いけど、頑張る。フォース体得者じゃないけどライトセーバーを使って戦ったりする。清掃係だったけどスターキラーに乗り込んだりする。気は弱いし嘘もつくしヘタレ。でもね、いい奴なんだよ。「正しいことがしたいんだ」「ただ彼女(レイ)を助けたい」…発言がまっすぐすぎてこっちが照れるわ(笑)。
元ストームトルーパーだというのにレジスタンスの人たちは誰も彼を疑うことなく受け入れる。レジスタンス、みんないい人だな(笑)。いやいや、受け入れたくなるくらいフィンがものすごくいい人オーラ持ってるってことだよね!
初登場時、ヘルメットに血痕がつく演出もよかった。識別記号としての効果と、こいつには血が通っているって意味合いもあったのかな。
ハン・ソロやポー・ダメロンとのやり取りも面白かった。次作でも活躍してほしい、三枚目担当。
 
 
そして新たなヒロイン、デイジー・リドリー演じるレイちゃん。
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かわいいのは間違いない(断言)。たくましくて、強くて優しい。でもどこか子どもっぽくて、怯えているようなところもある。それは多分、長い間「親」と言う庇護を失って生きてきたから。
 
 
 

親なし子たちの物語

SW物語のはじまりである人物、アナキン・スカイウォーカーにはもともと父親がいないという設定で、ジェダイになるため母と離れることになり、後に死別。ルークも家族と生き別れ、父親と再会するもやはり死別。
(ちなみに、アニメの「スター・ウォーズ  反乱者たち」の主人公エズラ・ブリッシャーも7歳で親と離別しています。)
 
今作の主役、レイとフィンにも親がいない。
レイは幼い頃、惑星ジャクーに家族から置いてけぼりにされた過去を持ち、フィンは赤ん坊の頃、帝国の残党にさらわれストームトルーパーとして再教育を受けていた。
親を知らず、たった一人で過酷な環境を生き延びねばならなかった二人。
そんな親のない二人が心を通わせるのに時間は必要ない。ラピュタのシータとパズーが「僕ら二人とも親なしなんだね」と言って距離を縮めたように、レイとフィンもその境遇を察すると、互いを同胞のように感じはじめる。
 
二人の関係性もよかったよね。
トルーパーたちに追われて、手を引いて走り出すフィンに「何で手なんかつなぐのよ!一人で走れるから!」と言うレイ。でもフィンが倒れると「行こう」と手を差し伸べる。
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ファルコンで逃げた後、互いの健闘をたたえ合ってキャッキャッと喜び合うのも微笑ましかったな。
終盤、フィンはファースト・オーダー側から助け出したレイと強く抱き合うのだけれど、そこには恋愛感情みたいなものは微塵もなくて、同志というか、家族に近いものを感じた。
 
ただのだめ男とできる女子じゃなく、最近流行りの(?)ヒーローとヒロインの逆転と言うのでもなくて、お互いがちゃんと助け合おうとしているのがよかった。そう、「ハンガー・ゲーム」はこの感じがなかったからピータにイライラしたんだわ…。
 
そんな二人に引き寄せられるかのように現れる、我らがハン・ソロ。
彼は今作で、旧三部作のオビ=ワン、新三部作のクワイ=ガンのように、若い世代を導く父性の役割を担う。けれどもSW世界において、世代交代のためにも父性は倒される宿命にあり、子はそれを乗り越えて成長せねばなりません。
ハン・ソロも過去の前例にならい、悪に倒されます。けれどもその悪が、スカイウォーカーの血を受け継いでいる自分の息子であったというのはなんとも悲しい。
 
 
 

「残念な」悪役

さて一方の悪役であるカイロ・レンことベン。両親は健在です。しかも母親は共和国のリーダー、父親は(密輸業者とはいえ)かつての戦いで活躍した英雄。そして叔父はジェダイ。そんなベンは反乱軍にしてみればサラブレッドのような存在だった。生まれながらにして勇者になることを義務付けられたようなものだ。これは子どもにしてみたらかなりの重圧のはず。
で、多分レイアはレジスタンス業が忙しくてあんまり構ってあげられなかったんじゃないのかな。ハン・ソロを慕うレイに「失望するぞ」などと言っているところからも、おそらくハン・ソロもあまりいい父親ではなかったのでしょうね。大体想像はつく(笑)。
 
なぜベンが叔父でありジェダイの英雄ルークではなく、祖父の暗黒卿ダース・ベイダーに共感するようになったのかは想像に難くない。若い頃って不良に憧れるものだしてね…。
まぁ多分そんな反抗期や厨二病的こじらせも相まって、ダークサイドを信奉するようになってしまったのだろう、と。
癇癪を起こしたりして、部下や同僚に小馬鹿にされてる感もある。決して真の悪ではない、共感できる「身近な悪」。とても今時っぽい。
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命名:THEこじらせマスク。
 
父親を殺すことでやっと正統なダース・ベイダーの後継者になったとも言えるカイロ・レン。EP8では修行してもっと強くなると思うし、これで癇癪も少しは治まるのかしら。
 
今後はおそらく彼の救済がテーマとなるでしょう。その役目を担っているのはレイちゃんなのでしょうが、父殺しを成し遂げたカイロ・レンが善側に回ることはないと思うのだけれどね…。
 
 
 

ファースト・オーダーとは何か?

エンドアの戦いで壊滅的な打撃を受けた帝国軍は弱体化。そんな帝国の残党により組織されたのがファースト・オーダーのようです。旧三部作の帝国は作られた時代的にソ連などの社会主義陣営、新三部作の帝国は作られた過程的にはナチスドイツっぽい。
今作のファースト・オーダーは「子どもを連れ去って兵士にする」ところや、攻撃の理由が理不尽かつ方法が同時多発&無差別テロっぽいところから、現代のイスラム過激派(というか「イスラム国」)を連想してしまうのですが、どうでしょう。
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ちょういっぱいいる!!Σ(゚д゚lll)
 
つまりそこから離反したフィンは彼らの良心とも言える。するとこの映画は、世界平和的理念のディズニーが「おのれの良心を覚醒させよ!」と言う過激派テロ集団の良心へと訴える希望のメッセージ…と言うのは、もちろん考えすぎです(笑)。
この三部作が片がつく頃には現実世界も今より平和になっているといいのですが。
 
あと、ふと思ったのが、マズ・カナタのセリフで「ダークサイドはずって形を変えて存在してきた。シス、帝国、ファースト・オーダー…」と言うのがあり、これはSWオタクのJ・Jだから出てきた言葉じゃないかなと(カスダンの方かもしれないけど)。ルーカスだったらこんなこと言わないよね、多分。
 
 
 

去るのは「女」である

ラスト、ルークを探しに旅立ったのはレイ一人(チューイとBB-8も一緒だけど)なんですね。彼女が一人だったのはもちろんジェダイとして修行するためという名目があってのことでしょうが。
で、旅立つ際「また会える」と言って眠っているフィンの額にキスをするのね。これはちょっと驚いた。だってこういう行為って男性側のすることでしょ、映画的には。
そう言う意味でも今作は女の映画だったんだなぁと強く思った。旅立つレイを抱きしめるのはレイアだし、一応キャプテン・ファズマも女性だし(彼女の活躍は次回に持ち越しです…多分…)。
その点でも最近のディズニー感がありますね。
 
 
 

まとめ

神話や騎士道物語をモチーフにした旧三部作から30年以上。もはや『スター・ウォーズ』という存在自体が神話や伝説の域に達しているとも言えます。
今作では、そんなSWに「今」の様々な要素を盛り込み、現代の物語としようとしたのかもしれないなと思いました。
 
親とも、子とも語れる映画なんてSW以外にないし、おそらく今後もそんな映画が作られることはないでしょう。
今作はまだ序章。この楽しみがまだあと数年続くのです。今はただただ、この幸せに感謝したいと思います。
 
 
 

蛇足

当初はポー・ダメロンとフィンがレイちゃんを取り合う、旧三部作のレイア×ルーク×ハン・ソロみたいなラブ要素があるのかと思ったけど全然違ったね。
今後はもしかしたらレイ×フィン×カイロ・レンみたいな構図になる可能性もあったりして?
 
とりあえず、今作のラブ担当はチューバッカ×ハン・ソロってことでよろしいですか(笑)。
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ハン・ソロの死はもちろん悲しかったけど、それよりも、その後のチューイ涙の咆哮→反撃→爆破に泣きましたね…。
チューイ…汚い絨毯だとか言われ。チューイ…なんだかいつも邪険に扱われ。チューイ…ヨーダとも戦ったこともあったのに。
次作でも活躍して欲しい、もじゃもじゃ担当。

 

スター・ウォーズ ビーンズコレクション チューバッカ ぬいぐるみ 座高 約16cm

 

「それが狙いさ」★★★★★
「女に嘘はつくな、いずれバレる」★★★★★
「みんな寒いんだよ!!」★★★★☆
総合★★★★☆(4.8)
 
 
tar Wars: The Force Awakens
2015年/アメリカ/136分
 
監督・製作・脚本:J・J・エイブラムス
 
脚本: ローレンス・カスダン、マイケル・アーント
製作: キャスリーン・ケネディ、ブライアン・バーク
オリジナル原案:ジョージ・ルーカス
撮影: ダン・ミンデル
編集: メアリー・ジョー・マーキー、メリアン・ブランドン
美術: リック・カーター、ダーレン・ギルフォード
音楽: ジョン・ウィリアムズ
衣装:マイケル・カプラン
出演:ハリソン・フォード / キャリー・フィッシャー / アダム・ドライバー / デイジー・リドリー / ジョン・ボヤーガ / オスカー・アイザック / ルピタ・ニョンゴ / マーク・ハミル
 
パンフレット:1000円(高い…けど買って損はない。)